1999年ベスト 本

 

 今年も漫画喫茶に夢中で、むさぼるように読み漁った。梅田地下街、泉の広場のんばっかり。だって外歩くの寒いんやもん。

さいとうたかお『サバイバル』の復刻版 今読んでも面白くって面白くって。犬のシロがいとおしく、海で遭難したときは胸がはりさけそうやった。私にとっては、腐れ漫画家の一人やった彼が(『ゴルゴ13』もうええやろ)、かつてはこんなにすごい魅力的だったなんて驚いた。
白土三平『カムイ』一機読み。  あるきっかけで興味をもって(「しろはた」)、白土三平『カムイ』一機読み。やっぱり第1部はいいわ。キャラのたったのがたくさん登場して、色々と接点をもったり、別れたり。大河ドラマの楽しさ(NHKのはもうアカン!)。私は特にカムイを慕ってついてきたタブテがお気に入り。オコゲ好みの可愛い男の子が、あんなんになって生きていて。うれしいようなビックリするような(『カムイ』って、そういうパターンが結構多いけど)。外伝と第二部は私の好みではないかも・・・。
水島新司の古い古い『野球狂の詩』  あるきっかけで興味をもって(「ズキズキどんぶり」 「Sophia's Abyss/国分寺球場」 「しろはた」)、漫画喫茶まで行って、水島新司の古い古い『野球狂の詩』を読んだら、すごいよかった。いいキャラクターぞろいで。2枚目スター選手にメロメロになる大文字大太郎(だいもんじだいたろう)って、私もクスグッタイですよね。権田権助(ごんだごんすけ)も大好き。でも今のは読む気なし。
COMNAVI(コムナヴィ)』(1999年2月発行)って漫画情報誌で「1998年度ベスト」って特集が  漫画喫茶に、なぜか『COMNAVI(コムナヴィ)』(1999年2月発行)って漫画情報誌で「1998年度ベスト」って特集を組んだのがあったので一応チェックしてみたら、漫画喫茶に行きまくってるくせに全然知らないのばっかりで驚いた。

 1位浦沢直樹『モンスター』(知らなかった)、2位小山ゆう『あずみ』(これは読んでた)、3位福本伸行『カイジ』(知らなかった)などなど。
 レジの店員にききまくったわ、雑誌を指差して「これ、どこにありますか?」って。

 それと私の全然興味のない傾向のんが票を集めていたのにも驚いた(『部長・島耕作』『ドカベン プロ野球篇』とか)。

浦沢直樹『モンスター』 殺人があってサスペンスやし、絵がきれいなので、まず読んでみたら、面白い。こら票を集めるわ。未だ完結していない、途中までなのがつらい(現在K巻まで)。
福本伸行『カイジ』(@〜Lで二部完結。三部は?) 福本伸行『カイジ』(@〜Lで二部完結。三部は?)、例の雑誌の紹介で引用されていた絵をみたら、こんなダメな絵で〜?って疑問をいだいたし、それにオコゲのリビドー方面の期待はできないわねって思ってたけど、まあ3位まで票を集められるんやから、そんなひどいもんちゃうやろ思って読み始めたら、やめられない止まらない。それになぜか、リビドーにくるのズキズキ。なんで? いい男が全然でてこないのに。オコゲがカイジやフナイとかを使ってヤオイ漫画書くとは思えないけど(金持ちジジイ相手の男性売春とか、全裸に焼きゴテも、カイジじゃ妄想わかん!←なにをえらそうに・・・)。13巻で第二部完結やから、ちょうどよかった。途中で続くなんてやられたら心臓に悪いわ。
福本伸行『アカギ』  例の『コムナヴィ』で、福本伸行の他の漫画『アカギ』も「ベスト100」に選ばれているので、それもチェック。私、アカギ、主人公が若くてキャシャなハンサムでもう好み! メロメロ。惚れた。カイジは、男性読者が親しみやすいキャラクター設定で、狙いが全然違いますけどね。
 福本伸行は元々が麻雀漫画誌『近代麻雀』での『アカギ』が出世作で、それをバネに一般的なメジャー誌『ヤング・マガジン』で、麻雀漫画じゃない『カイジ』で一躍大成功。
 元々、『アカギ』のアカギシゲルって、『天』の主役、天の麻雀の恐るべき対戦相手として登場し、後に心強い味方になる老人アカギシゲルがあまりにも魅力的過ぎたのでしょうね。すっかり主役を食ってしまったって感じ。そして昭和の初期を舞台設定に若い頃のアカギシゲルを主役にした『アカギ』の連載が始まったのね。『アカギ』の主人公が若くてキャシャなハンサムでもう好み! あまりにも超人すぎるわ。作者は、アカギのことを悪魔でもあり、あまりにも世俗の利害を超越した純粋さの塊でもありっていう風に描写し、神話と伝説を作ろうとしている。私も最初は「麻雀知らんし・・・」って敬遠したけど、彼のキャラクターの魅力で読ませますよ。
 『天』って、主役が顔ごつすぎてイマイチ。脇役のかっこよすぎるアカギは年いってるのね(←「ジジイのアカギの方がいいのよ〜!」って方がいらっしゃるかもしれませんが)。
 他に、『銀と金』は、インテリヤクザものだけど、主人公が若いけど顔がごつすぎてダメ。もう一人の主役、銀が好みのタイプでないオジンやし(『天』のじいさんアカギは結構好みやけど)。途中で話がインテリヤクザものから別方向に展開していったときに出てきたかわいい連続殺人鬼とか、イカサマポーカーをするおぼっちゃまがけっこうズキ! オコゲ好みを狙えたら、もっといいのにね(←えらそうに!)
 でも男しか出てこないし、男同士の描写が結構官能的やから、作者、ホモかも・・・(そうだとうれしいって私の妄想かも?)
鈴木由美子『カンナさん大成功です』『恐るべし! 音無可憐さん』 『コムナヴィ』でベスト100に入ってた鈴木由美子『カンナさん大成功です』を一応チェックして、それから『恐るべし! 音無可憐さん』も。少女漫画とギャグの合体。前に『白鳥麗子』を読んで大爆笑したけど、途中でダレてきて、彼女もう終わってるかと捨てたけど、これをきっかけに又読み出したの。彼女強いわ!

 こういうベストものって、やっぱり、参考になるわね。今まで全然知らなかったいい作品を知るきっかけになるしね。1度捨てた漫画家が復活したのも知れたしね。もちろん、ベストものに入ってるやつには、私の好みでないやつもたくさんあるけど、そういうのは無視したらいいしね。

 

副島隆彦(そえじまたかひこ)『日本の秘密』  「日本はアメリカの植民地だ」って視点で、日本の近代史を解読しています。     

 

 

 松沢呉一(まつざわくれいち)『熟女の旅』(スタジオ・ポット) 

 松沢さんは最高のフェミニスト。

 女性を同じ人間として扱い、女性へのやさしさと愛情にあふれています。

 彼じしんは、若い女の子が大好き。ところがひょんなきっかけから友人(仮名で長田長治(おさだながはる)が30代〜40代の女性が好みだということを知り、彼の紹介で熟女ファンのマーケットというジャンルがあることを知ったことから、この本ができたのね。

 彼じしん、この本の中でハッキリと、イヤなものはイヤって言っていて偽善的でなくっていいです。抱腹絶倒。他人の不幸・恐怖は、読者からしたら笑えます。

 若い女しか価値がないって差別的風潮に風穴をあけてくれます。

 女性達の間でも、若くない女性への差別に蝕まれていることを指摘しています。

 それと、彼は風俗ライターで『週間アサヒ芸能』で風俗店にお客として行って風俗嬢から性的サーヴィスを受けた体験記を連載しています。私、最初はイヤやったけど、しだいに彼の影響で嫌悪感がなくなってきたのね。

 彼の風俗体験記には、読んでて不快感がないのね。それどころか、ほんと、感動的ですよ。ある風俗嬢との交流に泣けます。なんて優しいの。
 ある風俗店の最年長の風俗嬢についたのね。彼女はサーヴィス業としての能力があり、トップクラスの成績を維持しているの。彼女が「いつまでこの仕事ができるのか不安です」って言うと、彼は「年取っても風俗嬢としてやっていけるよ。きみにはそれだけの能力があるんだ。げんに、きみは今も最年長でもたくさんの指名をとっているんだろ。セックス産業には、としとっても活躍しているのはゴロゴロいるよ」ってはげますのね。彼女は「そう言われたのは初めてです」って感動するのね。
 まわりは、もちろん風俗嬢のことを心配して「こういう仕事ができるのは若いうちだけだから、今のうちに身のふりかたをよーく考えておきなさいね」ってアドヴァイスしているんやけど、かえって身の置き所がない感じをあたえているのね。

 その最年長風俗嬢、同じ店の若いのんからいじめられているとか。松沢さん、「その子ら、若いってだけでサーヴィス業としての能力のないダメなやつらで、年いってるのがご指名をいただいているのが許せんのだ」って。女性達じしんも、女は若くてキレイなのしか価値がないって価値観に蝕まれているのね。軽度身体障害者が重度障害者をみくだしたりするようなものね。

 最後に、熟女風俗で活躍する女性達のインタヴューで締めくくりなんだけど、これがすごい面白いの。ある女性は、熟女マニアの間では超売れっ子だとか。元々は芸者だったけど、景気が悪くなって仕事がなくなり、AV嬢へと転職したのが30代後半! それから200本ものAVに出演したとか! 40代でも現役でAVやヌード撮影の仕事があるとか。たとえ裸の仕事でも、芸能界の隅っことはいえ、そのスタジオの中心でスポットライトを浴びる楽しさがあるって。その仕事がないときは熟女風俗で働いているのね。彼女のインタヴューが感動的。AVを見た男性が予約をとって北海道や沖縄からワザワザ飛行機で上京して「本物の○○さんだ!」ってお客さんになってくれるから、すごいやりがいを感じているって。

 これを読んで、ほんと元気がでました。年とることへの恐怖が少し薄らいだかな。まあ、私、熟女好きからさへ、もてないでしょうけどね。

 今までレンタル・ヴィデオ屋とか行っても、AVのほうは鼻をつまんで避けていましたけど、これをキッカケにのぞいてみたのね。熟女ものってジャンルが大きな場所をとっていて、かなりレンタルされているのね。へ〜。         

 他にも月刊誌『創』の連載。他にも雑誌で色々。

 新創刊のゲイ雑誌! 『クイアー・ジャパン』での「売買春肯定論」

 出版社『スタジオ・ポット』HPでの連載。

 松沢呉一の影響で、売買春全面否定から、売買春全面肯定へと極端な変貌をとげた。それこそが、家父長制度をくつがえし、女性を解放するって。これからは、新世代フェミニストが、時代の流れを読めない硬直したフェミニストを駆逐して、新しい時代へと移っていくのでしょうね。

 

伏見憲明編集長。これからの『クイアー・ジャパン』に期待。新世代のゲイとフェミニスト(異性愛男性や女性)が共闘していくのを象徴していますよ。