2000年ベスト 本

 

  福本伸行『カイジ』

 漫画喫茶で、ある漫画紹介雑誌で1998年度の漫画ベスト100って大特集が組まれていたので、店員に「コレ」って指さしもって訊いて。第3位が『カイジ』。最初はこんなダメな絵で〜?って驚いたけど、読み始めたら面白くって面白くって。どうしようもないクズ(私と一緒だからすごい共感できるのよ)、命がけのギャンブルに投げ込まれ、窮地に負い込まれてから、命がけの反撃をするのね。
 1〜13巻で一応第二部完結。そうなったところで、私は一機読みできたので、よかった。途中までで「次号に続く」ってやられていたら、心臓に悪いわ。第三部は? ハラハラドキドキ。これで福本伸行にはまった。

 第三部が週間『ヤング・マガジン』で新連載開始なった。
 プレイステーションのゲームとタイアップなってた。私、レンタル屋でDVDのソフトをレンタルしたくってしょうがなかったのね。字幕を日本語か英語にきりかえられるし、英語の勉強になるかなあって。で、5万はらって、購入。ごっついの。それが今じゃ、29,000円で買えるし、5万円もだしゃ、片手で持ち運びできるポータブルのんがあるのよ。くやしい。で、プレイステーションで、DVDソフト再生機能のあるゲイム機が爆発的な大ヒットやて。で、福本伸行『カイジ』を題材にしたゲイム機プレイステーションで発売されるって。ク〜ほしいよ〜。

 第三部、プレイステーションとのタイアップで大々的に宣伝されたけど・・・なんか漫画じたい破綻してきているなあ・・・福本伸行、連載抱え込み過ぎて消耗して衰えたって感じ。

   福本伸行『アカギ』

 『カイジ』で福本伸行にはまった。で、『アカギ』っていうのもあるとは知ったけど、麻雀漫画なので、最初は困った。ルール全然知らないから。それでも楽しめた。若い赤木しげるに恋しています。私は治に感情移入しています。
 元々は『天』の年脇役のじいさんで、伝説的な麻雀師で引退していたのが、主役の天と麻雀対決をするために再起し、そして後に心強い味方となるのね。あまりにも魅力的すぎたので、彼の若い頃を題材にした『アカギ』の連載も始まったのね。ここで描かれるのは、後に裏麻雀会に君臨する赤木の神話と伝説。
 今、日本の権力者と命をかけた麻雀をしていますが、『天』では、年老いた彼が登場しているから、死ぬことはないでしょって分かるのね。だから緊張感なし。この設定はまずかった。『天』の老け赤木を全く知らずに、『アカギ』から読んだ方なら、すごい楽しめますけどね。
 まさかカムイみたいに殺されて、双子の兄弟が代わりに主役をつとめ、今の『天』に出てくるのは、その双子のほうとか。それとも殺されたのは影とか。いくらなんでも、そんな無茶な設定はせえへんやろ・・・・。そんなんしたらブチ壊しやもん。

 恋する赤木シゲルのために、麻雀覚えたよ。ルールブック片手に、麻雀のコンピュータ・ゲームして。

 今、連載中断して、他の漫画を頑張っているけど・・・なんか連載抱え込み過ぎて、消耗し、衰えたのかなあ?

  福本伸行『天』

  老けアカギもいい。若いひろゆきとの関係が、オコゲにはズキズキ。
 老け赤木、アルツハイマーなったのを悲観して自殺するって、もうどうなるの〜? シャレになりませんぜ。

  麻雀のルールをおぼえたのだ

 福本伸行『アカギ』って、麻雀全然分からなくっても、主役アカギの魅力ですごい楽しめるけど、恋するアカギのために、私も麻雀のルールを知りたくなったのね。だから図書館で麻雀の本借りまくったわ。私の知る限り、一番分かりやすくまとめられているのが、井出洋介・監修『東大式麻雀入門』『東大式麻雀 点数計算入門』(池田書店)ね。
 ニノミヤでコンピュータ・ゲイムのソフトのコーナーで麻雀のんもないかチェックしたら、結構色々あったのね。WINDOWS98でできるようなやつ。で、『入門シリーズ お父さんのための麻雀入門』(アンバランス)を買った。税別で3,280円。対戦相手3人の設定が、オヤジ、メガネのしょぼいサラリーマン、OL風で、チョットださい。
 コンピュータ・ゲイムのソフトには、他にも、花札、百人一首、チェス、将棋、囲碁、ポーカーなど色々あるの。私、溺れそう。

 私、レンタル屋でDVDのソフトをレンタルしたくってしょうがなかったのね。字幕を日本語か英語にきりかえられるし、英語の勉強になるかなあって。で、5万はらって、購入。ごっついの。それが今じゃ、29,000円で買えるし、5万円もだしゃ、片手で持ち運びできるポータブルのんがあるのよ。くやしい。で、プレイステーションで、DVDソフト再生機能のあるゲイム機が爆発的な大ヒットやて。で、福本伸行『カイジ』を題材にしたゲイム機プレイステーションで発売されるって。ク〜ほしいよ〜。

  プレステほしいよ〜

 日本橋の電器街をほぼ1周歩き回ったのね。色々と見てまわったよ。ある店のでっかいモニターで、片山まさゆきの漫画のキャラクター総出演が売りの麻雀のコンピューター・ゲイムのソフトを大々的に紹介。うち、普通のパソコンでWINDOWS98でできる麻雀入門のソフトは買ったのね。でも、片山まさゆきのソフトは、プレイ・ステイションを買わないとできないし、私そんな金ないし。ただ、そのプレイステイションの会社ソニーも、それを広めるために力をいれていたのがすごい分かった。私が片山まさゆきを意識したのが、たぶんそれが最初では。 

 他にも、プレイステイションは、福本伸行の大ヒット漫画『カイジ』をモデルにしたゲイム・ソフトを、販売促進の売りにしていたな。福本伸行が又『ヤング・マガジン』で『カイジ (第三弾)』の連載開始と、タイアップしていた。うちも、金ないくせにほしくってほしくって。

 私、高い金だして(確か5万円以上)、DVDプレイヤー買ったけど、後になって、DVD再生できるしネットにも接続できるプレイステイション2とかいいのがでてきて困っているのよ。

 長いこと行ってなかった漫画喫茶によってみたら、漫画がおいてあったはずの棚にコンピュータ・ゲイムのソフトがズラッと並んでいた。
 おーっ! 片山まさゆきの漫画のキャラクターと対戦できるのが〜。『麻雀やろうぜ』ね。
 プレイステイションで、最初はやり方が全然分からず困ったけど、使用説明書と首っ引きで、それに時間をとられてしまって、肝心のゲイムの時間が足らなかった。
 で、又、行ってやったら、もうはまってしまった。

 店員に「福本伸行の漫画『カイジ』をもとにしたゲイムがプレイステイションから発売されるって大々的にタイアップで宣伝されていたのですけど、ないですか?」って訊いても、店員「そこにあるだけ」
私「購入する予定は?」と訊いても、店員「今のところは、買う予定はありません」やて。

 『電車でGO!』もいっぺんやってみたいと思って、頼んだけど、ドリームキャストやて。プレイステイションとは違うって。で、コントローラーみたいなのとソフトを渡されて、2階のドリームキャストのとこ座ってやろうとしても、全然やり方がわからない。店員さんが全然2階に来ないし、下まで行って頼むのも恥ずかしいからやめた。

 麻雀、将棋、囲碁、将棋とか、色々面白そうなソフトが並んでいて、私、溺れそう・・・。

   漫画喫茶で、麻雀漫画の、片山まさゆきもついでにチェック! 

『ぎゅわんぶらぁ自己中心派』(講談社) 初期の絵がすごい下手だった頃のね。それでも才能あるの分かる。

『スーパーヅガン』(竹書房) 絵がカワイクなり動きと魅力がでてきたのね。とてもコミカルで漫画としての魅力があって、いいわ。ブックオフでH巻(1989年)だけ100円で購入。

『ノーマーク爆牌党(ばくはいとう)』(竹書房) 
 コミカルでキュートな登場人物達がだくさんでてきて、そのかけあいがいいわ。で、コミカルでキュートなギャグタッチの登場人物たちが、しだいにシリアスな勝負ものへとつき進んでいくの。勝負ものって少年漫画の古典っちゅうか王道やけど、イヤ〜ンな男らしさなんかじゃなく、なんか作者のいい人間性がでています。天才じゃない地味な男(先生が感情移入しているの)底辺からコツコツと努力で少しづつ積み上げていって、下積みの苦労とかの描写もクドクナイところがいい。そして感動のラストへと。泣けますよ。
 作者は後書きで、本当はもっと続きを書く予定だったけど、超多忙のため、ここで終わりにしたって。そんな〜お願い、続きを書いて〜! 私、あのチャンピオン爆岡弾十郎(ばくおかだんじゅうろう)がすごい好きやったのよ〜。挑戦者・鉄壁保(てっぺきたもつ)も(先生が感情移入している)、お調子者の当(あたり)大介も。カッパのマスターも。その交じり合いがすごいよかったのに〜。
 好きなあまり、@〜Hもブックオフと梅田のマンダラケで購入。

『ミリオンシャンテンさだめだ!!』@〜C
 絵がかわいいんだもん! すっごくかわいいんだもん! あざといぐらいかわいいんだもん! とろけた宿命田くんも。オタクっぽい、しょぼい麻雀仲間たちも。うちもハートがホニャホニャホニャ〜。

 それにしても『スーパーヅガン』といい、片山先生の女性観って(笑)。自分が弱いから、強い女性がいい、イヤでも強くってもこっちがツライから、弱い女性がいい、でも弱かったら自分がよう守りきられへんし・・・ってな複雑な心境がよ〜く分かります。めろん畑って、男のある種の理想かもね。

 大好きな爆弾とは、もう、コンピューター・ゲイムでしか合えないのかなあ・・・。

 そうそう、片山まさゆきの漫画の最後に、他のンも紹介されててね。『麻雀入門王』って本で「片山まさゆきオールスターズ」総出演って。真中の一番目立つところに爆弾! 一番人気のあるキャラクターなのかな、やっぱり。うれしい。又会いたいな。ほんとは、又漫画の続きを読みたいんだけどね。

 今『近代麻雀』誌で新連載しているけど、私にはイマイチ。
 片山まさゆきって、二頭親のチビに異常に感情移入して燃えるけど、スッキリと背の高いトレンディドラマにでてきそうなキャラクターえがいたら、そらぞらしくなるのかなあ?

  西原(さいばら)理恵の『まーじゃんほうろうき』

 ブックオフで片山まさゆきの漫画を買うついでに、西原理恵の『まーじゃんほうろうき』も。やっぱ、才能あるわ、この人。
 それにしても、最初は麻雀界に全然興味なかったけど、この漫画を読むと、麻雀界って狭いわ。この漫画に出てる麻雀プロ、なにか麻雀の企画なったら、同じ顔ぶればっか! 麻雀プロの世界って、ごく少数のものしか食ってかれへんねんなあ。
 彼女の喧嘩相手、桜井章一ってなにもの〜?って謎やったけど、麻雀界の超大物らしい。よう分からん。局地限定大スター。

  張慶二郎『リーチメン』

 漫画喫茶で、福本伸行『カイジ』に熱狂し、それから麻雀全然知らんくせに麻雀漫画『アカギ』に夢中になり、それから『近代麻雀』『近代麻雀オリジナル』『近代麻雀ゴールド』って漫画雑誌にも関心をもつようになってパラパラめくってたら、いつの間にか『近代麻雀オリジナル』連載の張慶二郎『リーチメン』にズキズキ。一攫千金を狙いながら麻雀荘で働く若者達。いいよ〜。絵も好み(松本大洋みたいな、お醤油の匂いや土着のリアルな感じがして、でもなんかしゃれてる感じってのかな。私、アニメ絵とか超能力ものとかのああいう傾向の絵は読みにくくって。バタくさいのもヤ)。

 主役・杉太が短髪のスキッとしたすごい美男。仲間は、女のヒモ仁春(長髪で女にもてるって設定やけど、私には全然で、主役のほうがずっと美男だよ。相対的に、この設定は失敗やな)、関西出身のヒョロヒョロしたパソコンオタク桐人(私が一番感情移入してしまったの。なんか相原コージ・竹熊健太郎『猿にでも書ける漫画教室』のメガネくんやわ)。さらに主役の幼馴染の片目のヤクザ、マサオも(なんか、身体の線にズキーッ! スナックにオシボリを配りに行くとき、シャツの両腕をまくりあげたとこなんか、もう。日本的な土着の匂いがするリアルな美男ね)。なんか、こういう男同士が色々いて、幼馴染でって設定、好きやわあ。
 キャーッ! マサオが銃撃されてビルから落ちたーのよー!! 先生、お願い死なせないでーっ!! 普段は漫画喫茶で読むだけやったのが(単行本で買うつもり)、この号、思わず買っちゃった。
 同封のアンケイトにも答えようか思ったら、締めきりすぎてたよ・・・
 うわ〜ん! マサオ死んじゃったよ〜!!
 で、最終回、なんかしょうもなかった。この作者、すごいいいものもってるのよ。でも、なんか、後もう一歩ってとこで伸び悩んでいるって感じ。

  ところで張慶二郎って、全然単行本ないの? 情報求む! 単行本だしてくれ〜!

  さいふうめい・原作/星野泰視・画『哲也』

 そうそう、麻雀漫画といえば。『少年マガジン』で、麻雀小説の阿佐田哲也(あさだてつや)をモデルにした『哲也』があるけど。
 最初は晩年の麻雀小説の大家となったごついオヤジが麻雀うってる場面で、それから少年時代へと場面がうつるの。その少年がキリリとした端正な美少年で(ジャニーズ系みたいな激安なんとはモノが違うって感じ)。その出だしにズキッ! 

 すごい期待していたけど、だんだん、絵が気色悪くなってないか? ほら、昔の怪奇漫画の日野ヒデシみたいな匂いが。麻薬中毒のガンパイ(対戦相手がどんな麻雀牌を持ってるか見分ける能力)のヤツ見てヒノヒデシか!ってツッコンだけど。他にもねえ・・・なんか・・・その・・・・この作者、怪奇漫画を書いたほうが合うんやないか? 美男を書いたら、もっと女性人気が出るはずやのに、美男を書きたくないのか、書けないのかなあって。出てくる脇役が異様に気色悪いのばっか。いや、怪奇漫画のヒノヒデシは不気味なのは当たり前で理解できてOKでも、なんか普通の漫画で場違いに不気味なのって、うちも判断困るわ。作者、最初は大向こう受けするように哲也をキリッとした美少年に書いていたけど、次第に本性の不気味なところがドロドロとあらわれてきたとか。なんやろ、なんか、妙にひっかかる人やなあ・・・う〜ん・・・
  久しぶりに漫画喫茶で『少年マガジン』をチェックすると、例のヒノヒデシみたいなやつ。死んだと思ってたら、又もや再登場! やっぱり気になるから、又チェックしよっと。で、期待したのに、しょうもない終わり方が残念・・・。

 そうそう、片山まさゆきの古い古い『スーパーヅガン!』を読んだのね。主役が麻雀荘のボーイとしてアルバイトしてたら、客にごついオヤジが来て、そいつがえらい凄腕で、でもトイレで注射器をうってるのを主役が見つけるのね。主役が「麻薬うってる!」って騒いだら、そのオヤジ「糖尿病の注射だ!」ってオチ。チャンチャン。『哲也』と似ている!って思ったけど、ああ、阿佐田哲也の小説のパロディかって(私、未だ読んでないけど)。
 同じ阿佐田哲也の小説の登場人物を元ネタにしていても、全然違うのね。『哲也』はヒノヒデシの怪奇漫画っぽく、片山まさゆきは、あくまでも麻雀荘に来そうなリアルなごついオヤジにして。

 いつか余裕ができたら、阿佐田哲也の麻雀小説をチェックしてみよっと。

 麻薬中毒者の、私のイメージって、鶴見済(つるみわたる)だからなあ。
 ずっと前、オウム事件がマスコミを騒がせていた頃、深夜TVで彼を見たときは、病的で気色悪くって。ヤクのやりすぎ?
 で、『人格改造マニュアル』を発表してインタヴューされていたけど、そのときの写真がスッキリとした美男で。落ち込んでいたのが、この本で再起を決したって感じね。内容は、生きて行くのがつらい方たちへの参考になるものを丹念に取材したのね。人格改造セミナーかて利用したらええやん。麻薬は自己責任で利用したらええやんって主張。麻薬利用者たちを地道な取材もしてね。私、昔は、ただただ単純に麻薬はいけないことって思い込んでいたけど、彼の影響で考えを改めたのね。読後、元気がでます。
 で、実際、彼、麻薬をイラン人から買ったところを現行犯で捕まり、1ヶ月ほど拘留されたのね。その件について、『檻の中のダンス』で書かれています。

 その『哲也』でも、その麻薬中毒のガンパイのやつ、鶴見済みたいに、ひょろっと背の高い端正な美男にしたらいいのにね。そしたら女性ファンがもっと増えると思うけど。なんか出てくるのが気色悪いのよ。まあ、作者の持ってる資質と、好みでしょうけどねえ。

 雑誌で知ったけど、『哲也』、TVアニメ化されるって! 信じられない! いや、つまらないって訳じゃないよ。すごい面白いよ。ただ、登場人物の気色悪さがなあって。どうアニメ化するのやろ?

  阿佐田哲也『全集』

 麻雀総合情報サイト『麻雀帝国 Empire of the Mahjong』をチェックしたら、いいのを見つけた。
 ヨシダ・コータによる、阿佐田哲也の小説の解説。それと麻雀ものすべてを紹介。
 しかもうれしいことに、漫画『哲也』との関連も詳しく解説してくれているの。よかった。
彼の本なら全部読もうというほどのファンではないから、こういう解説は助かる。

 阿佐田哲也の小説を図書館で借りようとしたのね。彼の全集があるんやけど、『麻雀放浪記』のとこだけ、誰かが盗んだみたい。悪いやるおるね。
 で、短編集ばっかり集めた巻があって、そこに麻薬中毒のガンパイのやつの短編があって読んだ。

   
   山本おさむ『聖(さとし)』

 漫画喫茶で面白い漫画を見つけた。
 重病の子どもたちが、親元から離れて、病院に集められているのね。そこで学校教育もしているのね。次ぎから次ぎから子ども達が死んでいくので、他の子ども達も不安で不安で。
 主人公、聖は将棋に生きがいを感じてプロを目指して・・・って。
 これって、下手したら、子どもの不幸を売りにした卑しい反則わざのお涙ものになるんやけど、これはすごいいいよ。スタート地点でハンデのあるもののの生き残り競争として、熱いドラマよ。
 頑張って、あの有名な将士、羽生(ハブ)をうちまかすほどになったって。話できすぎって気もするけど。
 実在の方。30ぐらいで亡くなりはったのね。
 紀伊国屋書店の、囲碁、将棋、麻雀、トランプなどのゲイムの解説書ばっかり集めたコーナーがあって、私、そこで麻雀のルールの本をチェックして買ったのね。
 で、そこに彼の生涯を題材にした本を大きく取り上げていた本もあったのを見たことは見た。写真は、ハッキリ言って異形。私、最初は将棋馬鹿で外見には気がまわらなかたのかなあ、食生活を律するとかしなかったのかなあとか思ってたのね。
 で、その漫画を読んで、ああ、なんか知ってるって。あの異形も、腎臓の病気の副作用として、ムーンフェイスって症状がでるって。漫画では他の方々が「丸ポチャの顔をした可愛い子」なんて発言していたけど、気の毒で気をつかっての発言でしょうね。
 巻末では、他の将棋プロの方々が追悼の言葉が。
 今までやったら、有名人を書くのって、腕のない三流どころの漫画家が、実在の方の威光を借りて、でその方に興味のある関連の方々に買ってもらうって企画ものでしかなかったでしょ。
 でも、この場合は逆で、漫画家の実力のおかげで、全然興味の無かった私が、その有名人や将棋に興味をもつようになったのね。
 将棋の本を借りたから、今度は将棋のコンンピュータ・ゲイムでおぼえたいな。

 でも近頃、鼻についてきた。貧乏母ちゃん。友人の母親が貧乏で哀れで、うっとおしく(ジミー大西を貧相にしたような顔)。で対戦相手の母親が、又や! 貧乏母ちゃん。それも同じ顔!(貧相ジミー大西) で、次の対戦相手の母親が又貧乏母ちゃん・・・もおええやろ! それも又同じ貧相ジミー顔! いったいなんなんや?

   
  松田洋子『薫の秘話』

 薫は私だ! 主人公・薫はチブデブハゲの中年男。無職で能無し。老母との二人ぐらし。性格悪い。ホモで面食い。なんちゅう設定や。とはいっても、作者は世間一般の下劣なホモ差別に媚びたギャグとして書いているのなんかじゃなく、主人公・薫に私は感情移入してしまった。
 美男に恋をしては失恋。最終話の、ハンサムなヤクザに一目ぼれをして追っかけたけど、「でてけ! ハゲ!」ってふられる話が一番好き。少女漫画やったら、主人公の女はブサイクでも(心がキレイで、つくしたり、おいしい料理をつくったりたら)愛されるかもって甘えがあるけど、薫にはそういう女の甘えが一切通用しない。 『JUNE』とかの、女性作家による女性読者をターゲットにした男性同性愛ものも、美男しかかけない。だってブスの現実逃避の面があるからね。ブサイクな中年ホモって、過酷な現実を描けない。
 薫の老母チネさんの苦労は耐えない。警察が痴漢の容疑者として薫を尋問するけど、ご近所のおばちゃんらが見ているから、「薫が同性愛者だなんてカムアウトできないわ」なんて、おっかしくって、おっかしくって。好きやわ〜。この場面。
 作者は、ダメな息子に苦労する老母を、全体的には魅力的にえがいている。子供がクズなだけで、彼女自身はまわりから見て気分悪い存在じゃあない。まあ、作者は年よりのモチャアと間延びしたしゃべり方をクールに描写したところもあるけど。ある回では、ある男性老人から見たら、とても美しく魅力的って。着物の古風な、まるで昔の小津ヤスジロウ監督とかの上品な日本映画とかにでてきそうな。ここが作者のやさしさなんやろうなあ。女で年寄りって悲惨なのを、気分悪い存在としてえがいたら、あまりにも気分悪すぎて不快やからでしょうね。

 今、松田洋子は『週刊SPA!』で、有名人を題材にほめごろしみたいな漫画を連載しているけど、なんか絵が汚くなってへん? 私には、『薫の秘話』の頃の絵がよかったな。

 松田洋子『薫の秘話』は漫画喫茶でチェックしたけど、本屋には売ってないの。もう絶版か・・・

   
   
  井浦秀夫

『職業AV監督』

『AV烈伝』

 私はAVって見たことないのね。AV好きの方々と私とでは、この漫画の見方が違うと思う。AV好きでたくさん見ている人なら「ああっ知ってる知ってる!」って楽しみがあるのでしょうけど。私は全然知らないって立場で読んで、それでも(知らないからこそ?)楽しめた。
 全然知らない私でも、バクシーシ山下監督の名前は知ってる。雑誌とか結構でてるし、文章を書いてはるし。

 井浦秀夫の漫画を読んだのは、最初は『職業・AV監督』(秋田書店)から。漫画喫茶で。これは実在のAV監督、カンパニー松尾を主人公にしたのね。主役の業界の親友としてバクシーシ山下監督も、かなりいい人として登場。けど、そのときはいくらなんでもこの漫画での描写はキレイすぎるわな〜と思った。ほんとの社会は、もっともっと汚い世界でしょうがと思ったし(サラリーマン社会や公務員社会が汚いのと同じようにね)、本物の松尾もバクシーシ山下ももっともっと汚い人間でしょうがっ!とも思った(普通の公務員やサラリーマンが汚いのと同様にね)。実際、バクシーシ山下監督の文章を読んだけど、なんか社会へのルサンチマンを女性にぶつけて「これが正義の鉄拳だ!」と勘違いしてるんちゃう。フェミニスト女性への批判もなんか、男のイヤ〜な所が感じられて。私、この人嫌いです。今、松沢呉一やUNIDOSがセックス・ワーカーの人権を第一義にした運動をしていますが、松尾たちはそういうのとは全然正反対の方々でしょうね。あくまでも男尊女卑。
 ただ、それはそれとして、やっぱり、ここで取り上げられていた数々のAVを見てみたくなっちゃった(素人人妻ものとか、ある女優がたくさんの男性達の要望に答えてイメクラみたいなのをするやつとか)。
 撮影現場の話とか、とても楽しそうで、製作者たちも、又、AV女優たちも、お金のためもあるやろうけど、でもそれだけじゃないんだなって思う。フェミニストたちの「性の商品化批判」とか「女性は搾取されている」っていう主張も、あまりにも、空虚よ。それぐらい、この漫画で描かれるAV撮影現場は、芸能の楽しさに満ちている。女性達も、その現場の楽しさに触れたいっていうのも、出演動機の一つなのでは? こう書いたら大問題なるやろうけどね。まあ、もちろん、ポルノ業界も(一般社会と同様に)男性中心社会で、製作する側の男性達の意識は男尊女卑ではあるでしょうけどね。

 それと、この『AV烈伝』は読んでてホロリとした。
 特に、AV女優へのイジメが売りのAV男優清水大敬の話。彼は実は、真面目で青臭く高い志をもった演劇青年で、黒沢明監督『影武者』でオーディションに受かり戦国武将の一人として出演できたのがピークで、それから芸能界の底辺で頑張り続けて、AV俳優へと。これを落ちぶれ果てたと哀れに思うよりも、そういう状況の中でもなんとか強く生きぬいていこうって男の矜持に胸をうたれます。彼の強烈な個性が次第に客にあきられてきて、それでもポルノ業界で生きぬいていこうって。今もポルノ業界で製作側にまわってコツコツがんばっているとか。

 大きな胸が売りのヌード・モデル中村京子の生き様も。色々と女を食い物にしようという業界の中で、したたかに生きぬいていこうって。約束になかったことをやらせようとする製作側に対しての、一人で生きて行く(マネージャーの固いガードのない)ヌードモデルがギリギリのかけひきをしていく具体的描写がいい。裸の仕事はあきられるのが早く、ヌードモデル仲間がソープ嬢に転進しているけど、彼女は10何年も現役だとか。今もマワシだけで女相撲とかの営業をしているとか。

 この人の絵はやぼったくて華がないけど、丁寧な取材と対象への誠実なとらえ方がよく、その素朴な絵がいきています。

 朝日新聞の書評欄とかで永沢光雄『AV女優』が結構たくさん紹介されていたけど、でもこの人、取材対象を珍獣扱いしていないか? 私、この人、人間としての感受性が低劣と思うけどなあ。松沢呉一や井浦秀夫のほうがずっとずっと取材対象を同じ人間として温かいまなざしをそそいでいるけど、朝日新聞にはとりあげられないんや。なんでやろ? 

 私、今までレンタル・ヴィデオ屋のアダルトのコーナーなんて鼻つまんで避けていたのに、私、この漫画の影響で、のぞいてみたよ。

  松沢呉一・編著『売る売らないはワタシが決める』(ポット出版)

松沢呉一様。その他、みなさま。『売る売らないはワタシが決める』買いました! 発売前から、雑誌(月刊誌『創(つくる)』とかね)やスタジオ・ポットのHPでの松沢さんの文章をたくさん追っかけてきましたので、買う前から、傑作やろうなと分かっていました。で、実際読んでみたら、さらに傑作。

 選択制夫婦別姓に反対する連中、避妊用低用量ピルなどの避妊具の解禁に反対する連中の意見が、「女性のためを思って」とかぬかしているけど、うそ臭く、しかも支離滅裂。ホントの本音を教えてほしかった。
 そういう私自身、松沢さんたちの影響で、心のアカをおとしてもらいました。私も、売買春問題に関しては、馬鹿な保守反動だったわ。

 ただ、私みたいな落ちこぼれのプー子は「オジンをつけあがらせるんイヤヤ!」「オジンをつけあがらせる女どももイヤヤ!」って醜い本音を言えるけど、先生様の公の場での発言は「世のため、人のためになって」「かっこいいことを言わなきゃ」っていうのがあるから、どうしても偽善的で、しかも反対のための反対のくせにかっこつけてていやらしく屁理屈をこねまわしてしまってってなるわね。
 援助交際に関しての上野千鶴子の意見の支離滅裂ぶりも、私にはよ〜く解読することができます。

 この本でよかったのは、売買春全面肯定の立場からでも、私が大嫌いなタイプの連中をギャフンと言わせられるって分かったから。目がひらかれました。
 ミスコン反対派への批判者って小林よしのりみたいなイヤ〜なオヤジで、確かに性の商品化批判ってひ弱いけど、それでも小林よしのりみたいなのから「性の商品化、なにが悪い!」って言われたら気分悪かったのね。でも、松沢さんみたいな立場からならいいです。そういう立場こそがイヤ〜なオヤジ社会を撃てるのね。

 ただ、伊田広行先生のことも批判されていたのは、やっぱりショックです。私にとっては、松沢さん、『アンチ・ヘテロセクシズム』の平野広朗先生と並ぶ日本の最高のフェミニストなのに。

 去年の11月に「確信犯?シングルの会」と身体障害者介助組織「あかね連絡会」が企画した伊田先生のイヴェントに質問者の一人として参加させてもらい、そこで松沢呉一さんの売買春全面肯定論を紹介したけど、私のひ弱いオツムのせいで大混乱。その縁で「確信犯?シングルの会」にちょっと参加。もしアカンとこやったら、すぐ逃げたらいいし。私が紹介したので、私の知る限り、少なくても女性2人、男性1人が買い、絶賛してました。さらに何人かが買ったはず。ここの中心の女性も、年齢のわりには(40いくつぐらい?)結構柔軟です。
 この前の2月の例会に初めて参加。他、11名参加。「普段4、5名ぐらいなのに」だって。やっぱり、売買春全面肯定って言った私目当てみたい。よう分からん。定期的な例会なのか、新入りの私の歓迎会なのか、売春全面肯定って発言した私へのバトルトークなのか意図不鮮明だったので大混乱。
 『週間金曜日』関係のオヤジが、私に売買春論争をするために来たって感じ。それでいて『売る売らないはワタシが決める』未だ読んでいないって(←読めよ! よう分からんやっちゃで)。で、永田えり子と小谷野敦と全く同じ意見をエンエンと私に問い詰めるので、私のひ弱いオツムで佐藤悟志のんを解説して議論するのって大変。

J♂: 文芸評論家の小谷野敦あの人おもしろいなと思ってるんですけども、あの人も否定的なんですよ。はっきりとはゆうてないんですけどね、妊娠の責任は買う側は負わなくていいでしょう。それが問題じゃないかと言ってるんですよ。
のら猫の手: 『道徳派フェミニスト宣言』の永田えり子がね「買春男性の妊娠責任を問わないからダメー」と怒ってたけど、それを『売る売らないはワタシが決める』の中で佐藤悟志が徹底論破してるんですよ。女の人が妊娠した場合ね、結婚してる男の人に責任を負わせるの自体がまちがってて、女性や子どものフォローはね、社会全体が負うべきだという考え方で徹底論破しているんですよ。

それから大混乱。しまいに私、ブチ切れて「その本を読んだら!」って何度言うても、「未だ読んでいない」(←読めよ!)「のら猫の手さんの意見が訊きたい」の繰り返し。しょうがないから佐藤悟志の反論を声だして朗読してやったわ。もう!
 こういう議論ってあらかじめ入念な下準備をした上でやらないと、とりとめもなくなるから。今度からそうする。

 他にも、未だ読んでいないけど「僕、道徳派です」って拒絶している40男とか。で、なぜか売買春全面否定の本だけはタップリもってきてるねん。で、「読んで」やて。立岩真也のとかね(江原由美子・編『性の商品化』(勁草書房)。私は読んでやるけど、向こうは『売る売らないはワタシが決める』読むかなあ。拒絶するんやろうなあ。読んだ上でなら、うち、いくらでも議論しますよ。でも、読んだら、私なんかの出る幕ないわな。

 5月に『売る売らないはワタシが決める』の読書会をするつもりですが。誰も参加しなかったりして。それにUNIDOSのミニコミも付け加えたら、もう言う事ナシ。私なんかいらんわな。

 伊田先生のイヴェントを企画したように、大阪で、松沢さんやUNIDOSを招いてイヴェントをしたいです。できたら、伊田先生をゲスト質問者にして(←そう、お手紙だしたけど、未だ返事ナシ)。

 この本発行以降、すごいことなると思いますよ。ただ、ものすご時間がかかると思いますよ。

   UNIDOS(ウニードス)『報告集』

ドーンセンターで伊田広行先生の講演目当てで行ったら、そこの本屋では取り扱ってたのね。面白いよ。ただ普通の本屋では取り扱ってないから。入手したい方はUNIDOSのHPを。

 セックスワーカーを犯罪者扱いしないで、セックスワーカーの人権を第一義にした合法化を求めています。
 UNIDOSのメンバーたちで、京都大学で講演会をして、そのまとめ。それと、色々な文章が。
 そういう視点で、芸能や社会現象を解釈した評論がお薦め! 警察の援助交際反対の啓蒙ヴィデオ、『ラヴ・アンド・ポップ』『ベルサイユの薔薇』などなど。

   
  町山智浩『アメリカ横断TVガイド』
  副島隆彦『ハリウッド映画で政治を読む』
   
  『ダークサイド・ジャパン』隔月の雑誌

 私、松沢呉一の大ファン。彼は出版社スタジオ・ポットと懇意で、そこのHPでもコーナーをもっているのね。いつもいつも楽しく読んでいるの。そこで、新創刊雑誌『ダークサイド・ジャパン』で、ものすごいやりがいをもって書いているのを、とてもうれしそうに書いていた。なかなか、面白そうだし、探してみました。紀伊国屋にはおいてなくって、旭屋書店で。後、梅田のレンタル屋TSUTAYAで雑誌も売っていて、そこでも置いてあった。
 創刊号の目玉がジャニーズの裏側! 後、ヤクザが『裏モノJAPAN』を「いくらなんでも、やりすぎ」って、やらせを懇切丁寧に暴いて行ったり。
 第二号は、なんといっても、松沢呉一の記事! セックス産業で、誠実な取材をしてきて、風俗嬢たちからの信頼と人脈を築き上げてきた彼ならではの長所が。風俗嬢たちに迷惑をかける、ひどい風俗ライターたちを徹底批判。それに、佐野眞一『東電OL殺人事件』も徹底批判。
 それに、芸能界を牛耳る芸能事務所バーニングの裏側も。最近のジャニーズ叩きも、バーニングのしわざでは?やて。こういう視点の芸能情報が、私には面白い。

『クィアー・ジャパン』第3号 特集「魅惑のブス」

 私、ゲイの伏見憲明の大ファンなのね。彼が編集長をしている雑誌で、これがムチャクチャ面白い! ゲイだけじゃなく、異性愛の女性でもすごい読み応えのある雑誌ですよ。異性愛の男性、松沢呉一の文章も掲載されていて、すごく面白いの。ゲイとフェミニストが共闘し、相当ひらけた考えの異性愛男性も共闘するって構図よね。

創刊号 特集「メイル・ボディ」
第2号 特集「変態するサラリーマン」

そして第3号 特集「魅惑のブス」
 これがもうすごく面白いの!
 編集長がゲイ・リブの伏見憲明で、私、大ファン。
 ブスをとりあげていても、パワフルなゲイの方々からの視点がメインやから、オヤジどもが女ばっかりを品評して、男は顔じゃないなんて嫌らしい構造なんかじゃいですよ。コンプレックスにさいなまれているゲイたちからの投稿もあったりして(森村昌生『私のブス人生』)。しかも前向きでパワフルで、明るく、ギャグっぽくって、みじめったらしさがないの。他にも、ブスな女性達の投稿があって。これも明るいの。
 井上章一『美人論』みたいな、「しょせん、世の中の現実の男の本音ちゅうもんはな、美人がええんじゃ」って、いやらしい保守反動への回帰なんかじゃないし。小谷野敦『もてない男』みたいに、根性ねじけてもうてへんし。

 丸尾音々『ブスとおばさんの彼岸 ―― ルサンチマンを乗り越える居直り人生のススメ』が、ズバッてポイントついて傑作ですよ。