『週刊金曜日』1999年7月16日号投稿

内分泌系撹乱作用の点から毒性評価は見直されるべき

千葉県船橋市 吉田由布子

「エコロジーと女性」ネットワーク(46歳)

 私たち「エコロジーと女性」ネットワークは1997年末からピルの問題に取り組み、 厚生省に内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の視点から慎重審議を要望してきた。 そもそも女性の内分泌系を乱して避妊を行なうというピルの毒性評価は見直されて当然ではないだろうか。 これは排泄されて環境に出た後だけの問題ではない。 服用者へはもちろんのこと、ピル服用中の失敗妊娠やピルをやめた直後の妊娠などでは胎児へのホルモンの影響が危惧される。

 英国では97年夏に英国アレルギー・環境・栄養医学学会と性ステロイドホルモンの乱用に反対する医師の会との共催で、 ピルと女性の更年期ホルモン補充療法をテーマとした会議が行なわれ、 従来の疫学調査におけるリスクの過小評価の批判、ピルが免疫系や神経系、 さらに体内のミネラルバランスに与える影響などが議論された。

 一方、今年5月26日、英国の保健大臣は、医師から報告されるイエローカード・システムのデータによると、 過去10年でピル服用中に死亡した女性は104人で、副作用件数は2408件であったことを公表した。 すべてがピルとの直接的因果関係を認めているわけではないが、 同時に「ピルに関連するすべての死亡が報告されているわけではないので死亡総数はわからない」とも述べている。 この104件はほとんどすべて心血管系疾病によるものだが、ピル服用者の死因の第1位はガン、2位が心血管系疾病、 3位は自殺や事故、暴力という疫学調査がある。

 英国ではピルの副作用による被害者とその遺族137人が製薬会社や医師を訴えている。 ニュージーランドでは最近2年半で6人がピルの副作用で死亡している。 スウェーデンでも97人が製薬会社を訴えていることを最近知った。

 処方される側の立場からの安全性調査はどれほど行なわれてきただろうか。疑問である。