『THE CONTRACEPTION ONLINE REPORT』第13巻(2002年10月)
Large US Study Finds No Link between Oral
Contraceptives and Breast Cancer 大規模な米国の研究で、経口避妊薬と乳癌の間の関連性は発見されませんでした。 要約 編集者の注意 序章 大規模な、人口に基づいた、患者ー対照研究は、 経口避妊薬とその服用後の乳癌の発展に関係を見つけていません。(1) 経口避妊薬服用から乳癌発生のさらなる危険のないサブグループには、 若い年齢からの経口避妊薬服用開始した女性たち、家族に乳癌のある家族暦のある女性たち、 および長期間の経口避妊薬服用暦のある女性たちを含みました。 女性のサブグループには、経口避妊薬服用に関連した顕著な乳癌増大が見られませんでした。 「The Women's CARE(女性の介助)」の研究 つい最近出版された『the National Institute of Child Health and Human Development(子供の健康と人間の進化の国立研究所』のデータは、 経口避妊薬を服用しても乳癌のリスクの増加とは関連がないという安心感を与えてくれます(1)。 『The Women's Contraceptive and Reproductive Experiences (Women's CARE) Study(女性の避妊と生殖経験(女性の介助)研究)』は、大規模で、人口に基づいた、患者ー対照研究で、4,575人の乳癌の女性たちへの取材、35〜64歳の女性たちに焦点を絞りますが、 その理由は乳癌のリスクは年をとるほど増大するからです。 登録センターは、 ジョージア州アトランタ、ミシガン州デトロイト、ペンシルバニア州フィラデルフィア、カリフォルニア州ロサンジェルス およびワシントン州シアトルを含んでいました。 疾病管理予防センター(The Centers for Disease Control and Prevention (CDC))は、データを調整しました。 その患者には、1994年から1998年の間に最初に診断された侵襲性の乳癌がありました。 患者の約4分の3(77%)と、対照 (79%)が、経口避妊薬を服用したことがありました。 事実上、これらの女性(99.5%)はすべて混合型経口避妊薬を使用しました。 長期間の服用 研究者の発見によると、過去及び現在に経口避妊薬を服用した場合、 例え服用が長期間の場合さえ、乳癌の危険を増加させません。 図(1)および(2)は、 あらゆる場合の経口避妊薬服用と、乳癌の発生との比率を示します。 例え長期間の服用(15年以上)でさえ、女性はその疾病にかかる危険性が増大しませんでした。 エストロゲン服用量 研究者はさらに高用量エストロゲンおよび低用量エストロゲンの系統立てた服用を比較しました。 高用量でも低用量でも経口避妊薬の服用と乳がんの増大との間には、全く関連は発見されませんでした(図3)。 実際、高用量経口避妊薬を例えどんな服用方法であろうが過去の服用であろうが、 乳癌の危険の顕著な縮小に関係していました(見込み比率[OR]=0.8;95%の信頼区間[CI]、0.7-0.9、 両方のタイプの使用法)。 現在の高用量経口避妊薬服用者の広範囲な信頼区間(見込み比率=0.7; 95% 信頼区間, 0.2-1.8) は、 そのカテゴリーにおける少数を反映する、7人の患者に10人の対照(その病気の患者でない者)。 現在か過去に低用量経口避妊薬を服用した女性で、乳癌の危険における見込み比率は1.0 (95% 信頼区間, 0.8-1.3)、 乳癌の超過危険を全く示していません。 乳癌の家族暦 乳癌の家族暦のある女性が経口避妊薬を服用することで既に上昇している危険以上に乳癌増大の危険があるのかどうかという質問がしつこく繰り返されています。この点に関しては、『the Women's CARE Study』の安心を与えてくれます。経口避妊薬を現在服用中か過去に服用暦があり、しかも家族に乳癌暦のある(母親、姉妹あるいは娘)女性たちには、 乳癌増大の危険とはなんら相互関連が発見されませんでした(図4)。 遺伝標識(例えば、BRCA1 と BRCA2の突然異変)が存在することで、女性たちが経口避妊薬を服用すると、さらに乳癌にかかりやすくなるか? この問題に関しては、支持でも反対でも、コントロールされたデータは全く存在しません。ただし、小さな研究ではしかありませんが、50人のアシュケナージのユダヤ人女性に関する小さな研究がその可能性を調査したのは存在したことはありましたが(2)。 tBRCA1 かもしくは BRCA2 遺伝子の突然変異のある女性たちが、最初の完全な満期の妊娠の前に4年以上もの長期間に渡って経口避妊薬を服用したあという場合には、乳癌の高い見込み比率を持っていました。 しかしながら、これらの結果は、小さなサンプル・サイズを与えられた調査をさらに必要とします。 『the Women's CARE Study』は、この小さなサブグループにおける、可能性のある危険について、計画の立案をしませんでしたし、査定をすることもできませんでした。 ある研究が、乳癌の家族暦のある女性が1976年以前に経口避妊薬を服用すると乳癌の危険が増大すると示唆しました(3)。しかしながら、重要なことには、この研究は、乳癌と現代服用されている経口避妊薬服用との間には一切の関連性を発見できませんでした。 1976年より前のこの錠剤服用に関する説明されない発見は、 現代の低用量経口避妊薬を服用する今の時代の女性たちにとっては適切ではありません。 他の危険要因 『the Women's CARE Study』の調査者は、経口避妊薬服用者における乳癌発症率を、様々な特性、影響されやすい類似の結果を見ながら、補正された予測比率を計算しました。経口避妊薬服用は、年齢、人種、ボディーマス指数《体重 (kg) を身長 (m) の 2 乗で割った値; 肥満度を表わす。 22 が標準といわれる; 略 BMI》に関わらず、乳癌発症の危険を顕著なほどには増加させませんでした。さらに付け加えますと、経口避妊薬服用者で、最初の服用からの隔たりのある期間、最後に服用した年齢、妊娠初期における服用、初期の妊娠が検査される以前の継続されたままの服用などの要素を考慮に入れても、顕著な乳癌増大は発見されませんでした。例え経口避妊薬のプロゲスティンのタイプが違っても(gonaneでも estraneでも、そのどちらからも)、顕著な違いは発見されませんでした。さらに、年齢毎に階層区分されたあらゆる体型の経口避妊薬服用女性の間で、乳癌の危険の違いは観察されませんでした。 支持されるデータ 複数の大規模でよく指揮された研究からのデータは、これらの結果を支持します。『The Nurses' Health Study(看護士の健康研究)』、『the Cancer and Steroid Hormone Study of the US Centers for Disease Control and Prevention(米国疾病予防対策センター)の癌とステロイド・ホルモン研究)』、世界の経口避妊薬と乳癌に関する論文の90%以上からの主題を含む膨大な分析などこれら全てからは、経口避妊薬服用と乳がんの家族暦との間になんの関連性も発見できませんでした。その分析からは、現在の経口避妊薬服用における乳癌の顕著な相対リスク(RR=1.24; 99% 信頼区間, 1.15-1.33) でしたが、しかしながらその関連は経口避妊薬服用中止10後年には消滅していました。例の調査者は、さらに高用量のホルモンや長期間の服用の結果の欠如に注意しました。経口避妊薬服用者は、非服用者に比べて、危険視された偏見のせいで、さらに頻繁に調べられてきたのかもしれませんし、健康のための施設へと行く機会が多かったのかもしれません。全体として、最良の利用可能な証拠からは、経口避妊薬が乳癌の増加した危険とは関連がないということを示しています。 お持ちかえり用のメッセージ ・ 「the Women's CARE Study」の大規模で、人口に基づいた、患者ー対照研究からのデータによると、経口避妊薬服用と乳癌発生との間にはなんの関連性も発見できませんでした。 |
参照
訳注
case-control study | 患者ー対照研究 | http://www.kdcnet.ac.jp/rinsyo/naika/stat1.htm
【Case-control studies (retrospective) ある結果(outcome)有るか無いかで群を分けて過去においてあったどんな出来事=原因や危険因子、 によってそれが決まるかを調べる。Outcomeというのはある疾患であったり、ある症状であったりする。 Caseはそれがある者、controlはそれがない者である。 過去の出来事でcaseにはあって、cotrolには無いものを探る。 調査の向きは後ろ向きretrospectiveである。すなわち、現在から過去に向かって"What happened?"を調べる。どんな出来事を探るかはCase-series studyから予想されることが多い。 ●疾患の原因、頻度の調査。 ●何が危険因子かを調べる。 *Caseとcontrolの群が年齢構成、 性別構成において差が出ないようにするため"matching"が必要なことが多い。"Age-, sex-matched groups".】 |