CONTRACEPTION ONLINE → 2002年10月 3号 13巻「社説」
和訳/のら猫の手
1989年5月7日に、英国イングランド首都ロンドンの『タイムズ』日曜版は、
37mmものブロックキャピタル書体文字でのヘッドラインで以下の記事を発表しました
「ピル、乳癌につながる」。
物語は、その週に発表された『LANCET(ランセット)』の中のthe
UK National Case-Control Study Groupのリポートに関することです
(それは若い年齢で経口避妊薬をとった女性の間の乳癌の増加した危険について記述した)
(1)。 同じ週に、ニューヨーク市のWWOR-テレビは、同局の10時のニュース上で同じ報告書のこの適用範囲を運びました:
「警告は重大で、その数は恐ろしい。
英国の研究者たちは、ピルを長期間利用しないようにと言います.....
」 the UK National Case-Control Study Group(1)は、
36歳より若い時からの経口避妊薬の服用と乳癌との間の関連を発見しました。
つまり経口避妊薬の服用が長期間になればなるほど、
服用した女性のリスクは増大するということです(97ヶ月以上になると、相対リスクが1.7) 他の心配なニュースはその間の数年に生じました。 乳癌のある5万件以上もの例、及び10万件以上もの対照実験を含む各患者のデータの大規模な分析は、乳癌のリスクのわずかな増加を示しました(2)。ごく最近の『JAMA』のある記事は、1976年以前のピル服用女性の乳癌の第一段階のリスクとの関連に関する古い議論を刷新しました(3)。 上記の不確実な問いかけを与えられて、 Marchbanksと同士達による最近の報告書はいくつかの未決着の問題に重要な新しい解明を与えます(4)。ピルの服用は後に乳癌のリスクを増大させますか? そしてもしそうなら、長期間の服用だとリスクは増大しますか? 乳癌の家族暦のある女性たち、若い頃からピルを服用した女性たちには、普通でないリスクがありますか? 全体として、混合型経口避妊薬は、乳癌と無関係でした(4)。相対リスクは、 正確に1.0でした(効力はない)。 また、95%の信頼区間は0.8〜1.3にまたがります。したがって、すべての女性のための真実の相対リスクはごくわずかな範囲にしかないということで、臨床医は快適になりえます。これほど高度な正確さは、大規模な研究(4,500件の例と4,600件の対照実験例)から生じます。第二に、長期間の効果は明らかではありませんでした。第3に、乳癌の家族史のある女性は、経口避妊薬を服用した後にリスクが増加しませんでした。 最後に、その研究は、the UK National Case-Control Study Group の報告を確認しませんでした(1)。20歳未満でピル服用を開始した女性たちにおける乳癌の相対リスクは、年をとってからピル服用を開始した女性たちに比べても、同様でした。 なぜそれらは、文献で延々と食い違うのか? これまでの研究はほとんど、計画として患者ー対照でした。患者ー対照研究は、うまくやるには、かなり困難であることは有名です(5)。強固な問題点はたくさんありますが、その内の一である、経口避妊薬服用する前(情報バイアス)が決定的でしょう(6) 乳癌(その他深刻な疾病)のある女性たちは、考えられる原因を自身の記憶から追及しやすい傾向があります。健康な女性たち(なんの疾病もない)には、そのようなことをするだけの動機がありません。したがって、早期からのピル服用者とそうでない者とに関するあまり完璧とは言えない報告は、ピル服用と癌との間の偽りの関連へと導かれることが可能です。Marchbanksと同士たちがピル服用の歴史を検証することができなかった一方、彼らはエイズ騒動の思い出を利用して、例えば、市場のピルの生涯の年表や写真アルバムを正確な記憶を思い出させるための援助となるようにした。 さらにもう一つの執拗な挑戦は監視バイアスです。 経口避妊薬を服用する女性は、他の避妊法を利用している女性たちよりも、医療関係者たちと接する機会が多い傾向があります。従って、もし乳癌になったら、腫瘍が見つかるのは、ピルを服用している女性たちのほうが、コンドームを利用している女性たちよりも多い傾向があると考えられます。同様になことは、ピル服用と癌との関連でも考えられます。 例のMarchbanksたちの報告書は、この重要な問題に関して、現在までで唯一最良の研究です(4)。その報告書は、前任者である疾病管理センターの「癌とステロイド・ホルモンの研究」に成果に負っています(7)。Marchbanksの調査は、正確な方法、大きなサンプル・サイズ、そして初期に研究されたのよりもさらに現代的な経口避妊薬を扱っているのが特徴です。 私が患者に伝えるメッセージは何か。 乳癌に関して、私は、ピルが健康にいいと信じます。 Marchbanksたちの研究は、今現在ピルを服用している大勢の女性たちに安心を提供します。さらに、この報告書は、過去にピル服用暦があり年をとるにつれ乳癌リスクが高くなる今現在高いリスクのある大勢の女性たちにとっていいニュースです。 David A. Grimes, MD |
参照
1 | Oral
contraceptive use and breast cancer risk in young women.
UK National Case-Control Study Group. Lancet 1989;1:973-982.
「若い女性たちにおける経口避妊薬服用と乳癌のリスク」 英国全国患者ー対照研究会。 『ランセット』1989;1:973-982。 |
2 | Collaborative
Group on Hormonal Factors in Breast Cancer. Breast
cancer and hormonal contraceptives: collaborative
reanalysis of individual data on 53 297 women with breast
cancer and 100 239 women without breast cancer from 54
epidemiological studies.Lancet 1996;347: 1713-1727.
乳癌におけるホルモンの要素上の協力的なグループ「乳癌とホルモン避妊法。54の疫学研究から、 乳癌のある53,297人の女性たち、および乳癌のなり100,239人の女性たちの各データの協力的な再分析」 『ランセット』1996;347:1713-1727. |
3 | Grabrick DM,
Hartmann LC, Cerhan JR, et al. Risk
of breast cancer with oral contraceptive use in women
with a family history of breast cancer.JAMA
2000;284:1791-1798. Grabrick DM, Hartmann LC, Cerhan JR、その他 「乳癌の家族暦がある女性の経口避妊薬服用における乳癌のリスク」 『JAMA』2000;284:1791-1798。 |
4 4 |
Marchbanks PA,
McDonald JA, Wilson HG, et al. Oral
contraceptives and the risk of breast cancer.N
Engl J Med 2002;346:2025-2032. Marchbanks PA, McDonald JA, Wilson HG, その他 「経口避妊薬薬および乳癌のリスク 『N Engl J Med』2002;346:2025-2032. |
5 | Schulz KF, Grimes DA. Case-control studies: research in reverse.Lancet 2002;359:431-434. |
6 | Grimes DA, Schulz
KF. Bias
and causal associations in observational research.Lancet
2002;359:248-252. Grimes DA, Schulz KF 「観測研究のバイアスおよび原因となる関係」『ランセット』 2002;359:248-252. |
7 | The Cancer and
Steroid Hormone Study of the Centers for Disease Control
and the National Institute of Child Health and Human
Development. Oral-contraceptive
use and the risk of breast cancer.N Engl J Med
1986; 315:405-411. 疾病対策センター、および子供の健康と人間の発展の国立研究所による、癌とステロイド・ホルモンの研究 「経口避妊薬服用および乳癌のリスク」 『N Engl J Med』1986;315:405-411。 |
訳注
case-control study | 患者ー対照研究 | http://www.kdcnet.ac.jp/rinsyo/naika/stat1.htm
【Case-control studies (retrospective) ある結果(outcome)有るか無いかで群を分けて過去においてあったどんな出来事=原因や危険因子、 によってそれが決まるかを調べる。Outcomeというのはある疾患であったり、ある症状であったりする。 Caseはそれがある者、controlはそれがない者である。 過去の出来事でcaseにはあって、cotrolには無いものを探る。 調査の向きは後ろ向きretrospectiveである。すなわち、現在から過去に向かって"What happened?"を調べる。どんな出来事を探るかはCase-series studyから予想されることが多い。 ●疾患の原因、頻度の調査。 ●何が危険因子かを調べる。 *Caseとcontrolの群が年齢構成、 性別構成において差が出ないようにするため"matching"が必要なことが多い。"Age-, sex-matched groups".】 |