ホームヘルパー2級講座体験記

 

 

 『ケイコとマナブ』とか朝日新聞とかで調べて、めぼしいの全部に電話をかけまくって、たくさんパンフレットを取り寄せた。

 ロングライフ福祉学院は、阪急梅田駅から歩いて10分ぐらいのウエスティン・ホテルのすぐ近く。ここを選んだのは場所がいいから。他にも、たくさんあったけど、西本町とか、阪急南方駅とか、新大阪とかやしね(今は、ロングライフ以外にも、梅田に学校が次々と建っている)。
 それに3ヶ月で終えられるって。1年かかる学校もあるのに、なんで?

 通学コースと通信講座コースがあって、悩んだけど通信講座にして、7万円ぐらい振り込んだら、すぐ宅急便で、日曜日なのにごついテキスト4冊が届いたのには眩暈がした。添削問題の提出が合計8回。気が重くって全然手付かず。

入学式は「6月1日(火)」「PM6:45〜7:45(オリエーテーションを含みます)」

 入学式は「6月1日(火)」「PM6:45〜7:45(オリエーテーションを含みます)」って。通学生・通信生の合同で。「通学生のみ「テキスト第一巻」(講義1時間あります)」って。

 小さな建物の狭い階段を昇って2階。職員が階段昇ったとこに立っていて、教室の方へ入るように案内した。2階には、椅子や机が置いてある狭い教室と、実技用のベッドとか車椅子とかが黒板がギュウギュウ詰めに置いてある教室と、職員用の狭い狭い部屋と。

 適当に腰掛けて、職員から注意事項を書いた用紙を配られて、職員(太ってて、なんかパッとしないオッチャン)が内容を読みながら説明するけど、私、これ自分で読むからいいよ!ってウンザリするぐらいツマラナイ。
 健康診断の提出せなあかんって、ギャーッ検便が! 指定の病院(大阪市)で受けると安くなるらしいけど、遠いとこまで検便に行くのがいやなので、地元の市立の大病院にする。

 それからすぐに途切れずに学長みずから「ではテキスト何ペイジを開いて」って講義。でもツカミの下手さに、私、直感的にあまり面白くないやろうなと判断し、すぐに手を挙げて「私、通信講座の生徒なんですけど、これは受講しないとダメなんですか?」と訊くと、先生「いいえ、でも通信生も受講したらいいですよ」とおっしゃったけど、ギュウギュウ詰の狭い中「ごめんなさいね」と席をたつと、他にも何人か席をたってでていった。

 通信教育のレポート提出せな。テキストは私にはイマイチ。福祉の制度を、もっと分かりやすく噛み砕いて教えてほしい。そういうのが、私たちにどう影響するのか?って。特に介護保険導入って大ニュースになっているけど、でもどう影響があるのかが未だによく分からないので。介護などの説明もピンと来ないの。でもイヤイヤ、テストの回答欄を埋めて提出。

 でも講義に通うとなったら、絶対途中で挫折していたとは思う。私は通信教育やったから、続けられたんやな思うわ。ちなみに、通学講座の場合は95,000円、通信講座の場合は70,000円やから(消費税等別)。こっちにしてよかった。

 そして実技講義が6回。これは絶対出ないかんねん。欠席は2回まで。欠席した場合は補習としてヴィデオテイプを見て感想文の提出やて。

7月31日(土) 講義講義日程表 朝9時〜5時25分
 3階の教室。女の先生が2人。ヴィデオ鑑賞とか。は〜つまらんかった・・・これからこんなの続くのかと目の前マックラ・・・
8月 7日(土) ベッドメイキングとか面白かった。私、ドンくさくてゴメン。
8月14日(土) 面白かった。
8月21日(土) 面白かった。
8月28日(土) 老人達のためのレクリエーションを発表会。TV大阪が取材に来た。
9月 4日(土) 現場実習についてのオリエーテーション。通信講座の答案全部に「優・良・可」の評価をつけられたのを返却。
 

  毎週土曜日の実技が始まっての最初の頃、経験のある女性二人が先生なんやけど、講義があまりにもつまらなすぎて、これからこんなんがえんえんと続くの〜?と思うと目の前が真っ暗になった。教科書を読むのも、ヴィデオ・テイプを見るのも、たいくつでたいくつで。家でNHKのそういうのをチェックしたるんやし、もうええやんって。
 その後、実技室で実技を教えてもらい、とてもためになったし、楽しかったです。

★ 車椅子に乗る方と押すほうに分かれて近くの公園まで行ったり。
★ アイマスクをして目の不自由なのと介護者とに別れて階段やエレベイターに乗るとか(もうムチャクチャ恐い!)。
★ ポータブルトイレがたくさんあって、体の不自由な方を座らせてあげる練習とか(体の不自由な方の役をして、手すりのないポータブルトイレに腰掛けるのは恐いと思った)。
 職業として考えてはいない方々も1度は受けてみられたら? 私も職業として、将来どうしようかはまだ思案中ですが、結構役にたったし。

 先生がキチンと、老人介護は腰を痛めるってこと、老人を抱き起こしたりなどの要領のいいやり方教えてくださいましたが、実際実習生として行ってみたら、本当に大変でしたし、全然うまくいかず困り果ててしまいましたので、今更、実技でもっともっとそういうのをいやというほど教えてほしかったと思います(つまらない講義なんか省いて)。

 お昼は、ウエスティン・ホテルの地下街の、明治・大正時代を再現した滝見小路で(私、明治大正レトロ大好きやけど、これは失敗やったな思う)。そばめしとか、ラーメンとか、チェーン店のドトールでコーフィーとサンドイッチとかね。後、ホテル内に高そうなベイカリーの店で(買うだけで店内では食事ができない)、スモークサーモンやえびの入ったサンドイッチとグレープフルーツのジュースを買って、ピクニック気分でホテルの外で食べたり。で、ドトールでコーフィーね。
 いっつも一人。人付き合いがしんどいし、うざいから。帰りも一人。

   お尻に火がつかなきゃやれない性分で。学校の職員から「8月20日ごろまでに、通信講座の答案全部だしてください」って注意された。私以外にも、壁に未提出の方々の名前が張り出されていた。8回中4回分しかだしてなかったから。大至急出した。
   それと職員が「健康診断、期限までにだすように」「学校指定の病院は○日からX日までお盆休みがあるので、もしそこに行く場合はさらに大至急!」と言った学校指定の健康診断書、検便があるのがいやでいやで・・・もうしょうがないと腹をくくって、うちの地元の○○市立病院に電話して、相談した。箱にでもつめてもっていけばいいって思ってたけど、病院指定の道具とやり方があって、綿棒みたいなのに指してケースに入れるのと、親指の先ほどの大きさのんを割り箸かなんかでつまんで指定の容器に入れるって。
病院での健康診断

しめて18,106円したぞ!

 朝一番に車で行って、指定の道具をもらうことにする。それと血液診断もあって、朝から何も飲まず食わずでくることって。そしたら緊張して、全然出ない。検便の容器等をもらい使い方の説明を受けて、検便以外の検査全部、血液検査からレントゲンから全部やった。11時ぐらいで終わった。検便なしで9,150円した。喫茶店でホットミルクを飲んでソファでウダウダと持参の本を読んでたけど、便意は全然。このままずっとここにいようか、家に帰ろうかと悩んだけど、いったん出ることにした。171号線のニノミヤ電気店に行ってDVDプレイヤーとか見て、次ぎにレンタル屋に行って、CDやヴィデオ、CDケイスとかを物色していたら、お腹がグルグルグル・・・ギャーッ! 急いで病院に戻らなーっ!! そっから車で病院の駐車場とばしてとめて病院のトイレまでけっこう距離あるけど必死で走って駆け込んだら容器がー!! 又駐車場まで戻ってトイレや。ワ〜ンやっとでた〜A あーっ割り箸がない! しゃあないからトイレットペイパーでつまんだけど、うまいこといかん。何度も失敗してやっとできた。それから大急ぎで担当の窓口に持って行ったらギリギリセーフ。検便終了後に7,906円払った。

 それから何日か後、検査結果を聞きにいったら、男の医者が聴診器をあてて診断。私に「気管支がちょっと悪い」って。はあ、しょっちゅうひどい風邪ひくし。ずっと前ひどい風邪ひいたけど、ただ寝て根性で直そうとしても、あまりにも咳と痰がひどすぎて、こらアカンって病院行ったら「気管支炎も併発している」って、お薬もらったら、すぐ直ったけどね。まだヒューヒューゼーゼー言ってますか。でもそれ以外は全て大丈夫って。よかったよかった。その診断書をもらって(又もや1,050円)、学校に提出。しめて18,106円したぞ!

9月13日(月)
訪問入浴サーヴィス。

実技講座最後の日に、私が行くとこと日程等のプリントをもらった。ああ緊張するなあ。

施設実習の感想 

9月13日(月) 訪問入浴サーヴィス。

B昼食について ・・・ 弁当持参
C持参物     ・・・ 運動靴・タオル・靴下・実習記録・名札
Dその他     ・・・ ジャージとポロシャツは、入浴センターの指定のものを使用する

大阪市内だけど、天王寺からさらに南。朝6時半には家を出た。○○駅から10分ぐらい歩いたぐらいの距離で、まわりにはたいした物がなく、近くに喫茶店は汚〜いのしかなく、しょうがないからそこで飲んで時間をつぶす。チャンと8時半までに到着。割りと新しいビルかな? お湯の匂い。全然臭くないし暗くないし。本当は私以外に後2人同じ生徒が来るはずなのに、もう一人だけ(20代後半か30ぐらいの眼鏡におかっば頭の暗そうな女性)。婦長さんかのオリエイテイション。まず、更衣室で指定の制服(スエットの上下)に着替える。私たちにパンフレット見せながら仕事の流れを説明したとき、「タオルで洗うと洗浄力が強過ぎてお年寄りの皮膚には悪いから素手で洗う」と言われた。最後に「質問は?」と聞かれたので、私「下半身も(素手で)洗うのですか?」と聞いたら、「当然でしょ!」と怒られた。やっぱり最初は困ってしまった。朝礼。宗教的なことを一斉に唱えたのがヤダ!(松下とかもそうらしいけどね) いくつかのグループに分かれてやるみたいで、私はあるグループ、彼女は又別のグループにつかされた。1グループが男性オペレーター1名(茶髪。体格ガッチリ。意地悪そう)、看護婦1名(バサバサの茶髪。眼鏡。恐そう)、女性ヘルパー1名(茶髪のお下げが可愛い。優しそう)。ワゴン車に浴槽やらお湯を沸かす装置が積んであって、前の座席に2人座れるからつめて座り、後ろの狭い狭い場所に看護婦が座った。6軒のはずが、1名キャンセル。だから今日5軒。
 1軒目は、古い民家。空気が淀んだようなすえた匂い。おじいさんが迎えに出た。おばあさんがベッドに寝たきり。看護婦が脈とか血圧とか測ってる間、男性とヘルパーが大きなビニールシートやら浴槽やらホースやら運びこんで、用意する。最初は私は正座して見てるだけ。次ぎから、私も手伝わされたけど、私、全然仕事が飲み込めなく、足手まといでしかなかったのがつらい。

 コンビニによって、皆色々と購入。私はとろろそば弁当とお茶。
 11時半頃にセンターに戻る。お昼を食べる。他に何もすることないな〜。一階の窓口近くにあった福祉関係の小冊子や介護器具のパンフレット等をパラパラ見る。もうオフィス戻るかとエレベイター乗ったら、例のヘルパーさんと別の女の人とばったり顔を合わせ、彼女が「よかったら、一緒に来る?」と言ったのでついていった。自動販売機のジュースの脇に、他にも若い男たちが集まっていてだべっていた。例のヘルパーと一緒にいた女の人が「私を覚えてる? 目の不自由な人を介護する実習で一緒でしたよ」って。はあ・・・そう言われてみれば。ここで働きながらホームヘルパー2級の資格を取っていたのか。

 1時すぎから又仕事再開。又何軒か廻る。要領が飲み込めず、車で座って待つのかと思って待ってたら、茶髪男が「こらっ! 何やってんねん!!」って怒鳴った。エッ?と驚いて、大急ぎで家に戻ると、未だ他の看護婦とヘルパー女性がいた。どうしたらいいのかマゴマゴ困った。茶髪男が向こうからヘルパー女性を手招きしてドアの向こうでゴニョゴニョしてた。もう絶対私の悪口言ってるに決まってるよ。
 入浴介助でヘルパーと私で、それぞれ片手でおばあさんの腰を持ち上げ、もう一方の素手でお尻を洗う。最後、出迎えたのが口の悪い女の人で「こんな若いのんなんか、あかんに決まってるわ」「キッツイ仕事やらせたらすぐ逃げるわ!」って。私「そうね。そうね」って一応相槌うつ。そしたら、看護婦もヘルパーも「じゃあ私も若いからダメね」ってギャグっぽく返した。彼女が向こう行ってから、看護婦が小声で「あの人はいっつもあの調子だから、気にしなや」って。最後の方のを下半身の性器の部分を素手で洗うように言われ、覚悟を決めてやった。全員おばあさんやったのがせめてもの救いか。
 5軒ほどまわって、それぞれ寝たきり老人を抱えた家の現場を見て、暗い気持ちになった。4時半頃、センターに戻り、制服やタオルを洗濯したり、乾燥機いれたり、ほしたり、たたんだり。

 最後の反省会で、実習生の感想を述べよといわれたから、もう一人が「仕事を飲み込めないので足でまといになったのがつらかった」と述べたので、同じこと言うのもなんやしと思ったし、自分の本当の気持ち(そのときのとまどい)を正直に述べたら、婦長さんが絶叫して怒った「講座で、あらかじめ、入浴介助のこと聞かなかったの?(←通信講座やけど、テキストにそこまで書いてないって!)」 「下半身を洗うって、いやがるのはプロ意識の欠如よ!」って。
 最後、婦長に黄色い実習記録に出席した証拠の判子を押してもらう。
 着替えのためにロッカールーム入ったけど、向こうから聞こえよがしに茶髪男が「俺らが忙しいのに、あいつ、車の中でくつろいでやがんねん」って。反論してもしょうがないからしない。ああ、もうこんなとこ来たくない。

 同じ実習生の子と阪急梅田駅まで一緒に帰りながら、色々と喋った。まあ、だいたい私と同じ境遇やわ。「前の職場をやめて、これからどうしようか迷っている」「まあ、私の能力では、こういう仕事しかないかもね」「友達がこの資格をとって仕事についているの。やっぱり、つらいって。やっぱり、どうしようか迷っている」「将来親の介護の問題とか絶対無視できないから、一応こういうのを習うのも絶対無駄にならないと思ったしね(←ほんと、そうね)」
 彼女が「他の子から聞いたけど、ここやったら、ちゃんと仕事の指示を出してくれていいけど、施設やったら、向こうもムチャクチャ忙しくって実習生ほったらかしで自分で仕事をみつけて処理しろって感じで、何をしたらいいのかマゴマゴするらいいよ」って。ああ、ここよりさらにつらいの〜気が重いなあ。行きたくないなあ・・・

9月16日(木) 

老人特別養護施設での実習初日。             

9月16日(木)  老人特別養護施設での実習初日。
B昼食について・・・弁当持参
C持参物・・・ジャージ、運動靴、名札、筆記用具、実習記録、上履き

 持ってくるのは「上履き、ジャージの上下、名札、弁当、実習記録、筆記用具」
 梅田から2駅で交通の便はむちゃくちゃいい。地図をもらっていたのに、迷う。この建物がよく分からない構造になっているのが原因やで。人に聞きまくってどうにか到着(分かったら、駅から2、3分ほどで行ける)。全然臭くない、清潔で近代的。できて新しいはず。まあ、簡単に説明したら、病院と一緒の建物で、1階から何階かが病院で、4階から8階までが特養になっている(ほんまはもっとややこしい)。
 一階の入り口で他の2人と待つ。同じ生徒で、一人は50代ぐらいのポッチャリした陽気な主婦で大学生の子2人(Mさん)、もう一人は40代ぐらいのえらいバタ臭い顔した(でも苦労したことありそうな感じの)主婦(Oさん)。 それから院長(かなり年いったじいさん)かなんかが来られて挨拶。
 それから6階の職員達の集まる窓口みたいなところで朝礼。若いのが多い! 実習生の挨拶。それぞれの指導者の紹介。私の指導者は若い女性。それから婦長さん(50ぐらい。眼鏡にショートカット)が私たちのオリエイテイション。ロッカールームのロッカーの鍵を渡される。ロッカールームに入るにはドアの暗証番号を押さなきゃいけないし、エレベイターもそう(ボケ老人が勝手にどこかへ飛び出さないようにするためでしょうね)。お風呂場とか、よく介護用具のパンフレットとかに載ってそうなのが揃ってるわ、お風呂場も段差無し、手すりつき、浴槽も手すり付き段差無しの階段つきのいかにもってやつやわ、ピカピカやわ。絶対できて新しいわ.。
 老人のいる各階とも基本的な構造は一緒で、
・老人部屋、
・職員の受け付けコーナー(老人からの呼び出しコールや電話のある区切りがあって、内部に机とか、仮眠用のソファとついたてとかトイレとか。冷蔵庫も。)、
・汚物室(ポータブル・トイレの中身をすてたり、トイレ掃除用具とかね)
・食堂(TVつき)

 それから分かれて、私は自分の指導者(若い女性)がいる5階へ。でも11時からお昼休みだって。しょうがないから、外へ。駅の構内のラーメン屋でキムチラーメン(後で異常に喉かわいて困った。職員用の場所の冷蔵庫のお茶何度もガブ飲みしてもうた)。

 12時に5階に戻る。痴呆老人たちの集められた5階の食堂で昼食事の介助の手伝い。普通やったら「12時には食堂に集合してくださいね」ですむのに、全員ボケてるから一人一人集めなあかん。小人数の職員たちがボケ老人何人か食卓につかせたら、又残りのを。先に食卓につかされたのは、それまでジッと待ってないかんねんけど、つらいんやろうなあ・・・(小人数による、大人数の時間と空間の管理になってまうねん)。他の職員たちがナンヤカヤやってる間、私お茶を配ってたら、一人が「トイレに行きたいのよ」 エッ? 「トイレに行きたいのよ」って。あわてて職員に訊いて、トイレにつれていって、トイレの前の壁の手すりを掴ませてパンツと下着を下ろして便器に座らせ、やらせることに。ところがなぜかやらない。何がなんだか。手を洗いなさいって言っても「いらない」 その内大混乱になって「イヤ〜!!」。職員に助けを求めると、来たので、状況を説明すると、職員「オシッコやウンコの感覚もムチャクチャになっているのよ。自分でも訳が分からなくなっているのよ」「もう、気にしないで」って。それと、トイレット・ペイパーもないの。なんでも食べてまうからやて・・・。だから車輪のついた巨大な箱の中にはいつもホカホカのタオルがあって、それでぬぐってやるねんて。
 右腕骨折した車椅子のおばあさんに食事を食べさせてあげるように言われたのでやる。口アーンとするので細かく千切っていれる。素直に食べてくれるから楽。まあ、あまりうまそうな献立ではなかったから、結構残してはったけど。Mさんもここに来ていて、彼女の担当は、ドロドロに磨り潰した食べ物(マズソ・・・)をスプーンで食べさせても、すぐにもどしたり、むせたりするので大変そう。私、Mさんより楽なのを担当させてもらってるのかなあ・・・? 狭いとこやから、私座れずに中腰で食事介助するから、腰いたい・・・。
 食後の歯磨きの介助。テーブルと椅子の背中の、狭い狭いところに小さな流しがあるの。名前を書いた歯ブラシが並んでいて、終わったのはコップに立てるのね。何人か介助をするように言われたからやったけど、痴呆者相手ってツライ。歯磨きってものじたいを忘れている。私が直接歯を磨いてあげて、水をいれたカップを渡して「口をゆすいで」って言う。それも分からないから、私が手本を見せる。ある老人なんか、もう歯磨きもまともにできないから口をゆすがせるだけなんやけど、それもできない。「口をゆすいで」って言ってもダメ。「口をゆすぐのよ」って私もコップの水でガブガブ、ブーッ!ってなんべん手本を見せても、その人水を飲むだけ。まともに話しをしようとして、精神的に参った。

 職員達が腰のコルセットみたいなのをつけていたのもすごい(男も!)。たぶん職業病を避けるための道具なんでしょうね。

 食堂に老人達を集めてヴィデオをインストラクターにリハビリ体操。椅子に座ったままの年寄りでもできるやつ。「肩トントントン」「足バタバタバタ」 あ〜つまらん。

 なんといっても、つらかったのが、4時からのトイレ介助とおしめ。ボケてるのを便器に座らせたり立たせたりを手伝ってあげて腰がつらい。全員の排泄器官を温かい青いオシボリ(下専用ね)でぬぐった。私を指導してくれた若い女性が頑張っていた。それとオシメの交換。おばあさんだけじゃなく、寝たきりのおじいさんの性器を素手でつまんでオシッコ用のんにくるんでオシメをかえたのにはつらかった。 彼女「施設によっては、ゴム手袋はめてやるところもあるけど、うちは素手でやるわね」 私、思わず「大変ですねえ・・・」と言ったら、彼女「私はこの仕事が好きよ」って。又別の女性にも同じことを言ったら、彼女も同じ答え。

 帰りに、6時頃、西梅田のドイツ人がやってるローレライってバーで、日本人の若くてキレイな女の店員にお薦めの品を訊いて、で、たっぷりのビール(変わった形の大きなグラスになみなみと入ってるの)と白いソーセージ(付け足しに酸っぱいキャベツのザワークラフトがチョッピリ)と揚げたじゃが芋の卵とじみたいなので気ばらし(3,500円ぐらいかな)。量が多すぎ。一人やなく、二人ぐらいで来て分けたほうがええな。でも狭いしカウンターだけやしな。客は先に来ていた男の人と私だけ、すごいすいてた。
 後2日、頑張れ頑張れ。

9月17日(金)
老人特別養護施設での実習第二日目。
9月17日(金)

 6階で朝礼。私の指導者が若い男の子。ガテン系の明るさと元気さがある。他の子との会話が聞こえてきて、休みには野球をやってるらしいって分かる。8階。お年寄り全員の急須・湯のみ等を集めて、洗ってお茶を入れて配る。

 昼休みは11時から。駅前のしゃれた喫茶店メリルボーンはランチは11時半からしか受け付けてくれないってハッキリ言うから、しょうがないから、少し戻って施設のすぐ近くの喫茶店へ。ショーウインドウに並んだサンプルがダサイな〜と思ったのでパスしたけど、しょうがない。カレーならまず大丈夫やろうと思って注文したけどやっぱマズ〜!

 昼食介助。又もや昨日の痴呆老人ばっかりの5階の。昨日と同じ、右腕骨折したおばあさんに食事を箸で、食べさせてあげる。今日の献立はお好み焼き、酢のもの、デザートのフルーツのシロップ付けで、おいしそうやし、実際全部きれいに食べた。職員が全老人たちのチェックをしていて板にはさんだ用紙に記入。私に「○○さん、お食事どれくらい食べました?」って訊いたので、私「全部きれいに平らげはりましたよ。今日の献立はおいしかったのでしょうねハハハ」と笑った。

 午後から一般浴。 週2回、2時から5時までの間で、全員を入れる。長いジャージをはいていた私に、指導者が自分の膝丈のパンツを貸してくれる。私「じゃあ、これ洗濯してお返ししなくては・・・」って言うと、これは制服で、使用後は地下の洗濯機にいれることになっているとか。男の職員二人と女性職員が何人かと私、まず男性老人達の入浴介助ってショック。私、困った。それから女性の老人達が入ってきても同様の職員達が見る。恥ずかしいなんていってたら、やってられないんでしょう。死ぬほど忙しい。最後は流れ作業。若い男性職員が、車椅子の老人の服を脱がせるとき、「ご協力ありがとうございました」って頭を下げたのは偉い! オシメをしていてウンコだらけのお尻も青いタオル(下専用ね)で洗ってあげる職員たちに感動。老人達を立たせたり座らせたりするために何回も立ったり座ったりで腰がつらい。 週2回だけじゃなく、毎日お風呂を沸かしてもっと小人数ずつ入れてあげたら、老人達(職員)も楽なのにと思ったけど、ガス代等がもったいないのでしょうね。でもこれじゃあ、老人達(それに職員達も)つらい。でも若い男の子達が明るく元気で嫌な顔をせずに、プロ意識でやっているのには頭が下がる。Mさんは特浴(全身不自由な方をお風呂に入れるの)とポータブルトイレの便器みがきやったとか。

 帰りに梅田の東通り(いかがわしいのだらけ)にある、前前から行きたかった貝作って貝料理の店でコース(五千円!)を頼む。ヒヤもつく。マスター、眼のつけどころはいいけど、肝心の料理が私にはしょっぱすぎた。

9月18日(土)
老人特別養護施設での実習第三日目。
9月18日(土)

 早めについたので例のまずい喫茶店に入ってコーフィー注文してトイレに入ろうとしたら、店員「壊れていて使えません」って。しょうがないから一口で飲み干して出て行こうとしたら、ドアのとこで他の実習生Oさんが入ってきた。手短に挨拶だけして特養の6階の職員のつめる受付けみたいなとこのトイレヘ。

 朝の会議。最後の日は私の指導者が茶髪の若い男の子。寮母長「研修生のら猫の手さん!」 私「はい!」っと手を挙げ、寮母長「担当○○さん」 私、彼にペコって頭下げたけど、彼ムッツリして冷たい。7階。お茶の交換。もう一人、男の職員がいて(結構若くて眼鏡をかけてて太め)がお茶配りの指導。それから茶髪が(腰にコルセットみたいなのをはめて)私についてくるようにって指導するのでついていく。車輪つきの手押し車みたいなのをガラガラって押して、中からオシメと青いホカホカの手ぬぐいをだし、寝たきりの老女たちのオシメをテキパキとかえてやり、青い手ぬぐいでぬぐった。ある方の股間には手袋をはめて薬を塗ってやっている姿に最初は驚いたけど、でも嫌な顔をせずそこは職業としてキチンとやる姿に感動。こういうのをやるのが、宗教信者か共産党系が相場って感じやったのが(そうでなかったらやってられんでしょ)、全然そういう感じじゃないのが頑張っているっていうのがうれしい。他にも黄色い髪の女の子もいてたし。そういのっていいな。

 食堂には背中の曲がったおばあさん。「苦しい、苦しい」「背中が〜」「後ろ〜」って。私、どうしたらいいのか困ったけど、指示通り後ろひっぱってあげる。何度も何度も。

 受付行くと、ミズノエタキコみたいなおばあさんが車椅子に乗っていて「おい! こら! 実習生! オマエ、ナンヤ! 名札がないやないか!」ってえらいからまれた。眼鏡をかけた太目の子が「まあまあ勘弁してやってよ」って向こうへやる。

 車椅子のおばあさんが「ベッドに乗せて」と言うので、学校の講義で習ったとおりやったけど、うまくいかん。でもなんとか乗せた。ハアハアゼイゼイ・・・。それから「もっとこっち」「もっとこっち」とかエンエンと言うのでベッドに乗っかって必死にやった。腰が腰が〜ククク・・・。

 することない年寄りたちがからむからむ。フガフガ言うので、聞き取れないので何度も何度も聞き返すと、どうでもいいことを。「車椅子の後ろ、ちゃんと壁についてる〜?」 私「はい、ついてますよ」言うても又フガフガフガ。神経がまいる。「まあ、スベスベした肌して〜」って、ナレナレしく触るなババア!

 ある車椅子にのった老人、あまりの短髪なので男だと思い込んでいたのね。その人が「トイレ」というので、茶髪のとこまで走って「おじいさんがトイレ」って。茶髪が来て、広いトイレの便器のとこまでつれていって座らせるのをテキパキと手伝い「用が足せたら呼んでください」と言ってカーテンを閉めた。そして私に怒って小声で「おばあさんだって!」 私「すみませんでした。後は私がやりますので」と言って、手伝ったけどアカン。か弱い私の力では二人とも立たれず倒れそう。大声で「すみませ〜ん。助けてください」って呼ぶと、眼鏡が来て「○○さん、自分でできるでしょ。人に頼らず、自分でやりなさい」 そしてテキパキと最小限の手助けをして、後は自分で車椅子に座らせた。私「すみませんでした」と謝っても、眼鏡は冷たく無視。

 ある部屋の前を通ると、顔に障害のある女性が男性老人のポータブルトイレで用をたすのを介助していた。私も手伝った。女性「拭くのは?」って訊くから、たぶんガラガラって押すものの中に青いおしぼりがあったはずと思い、探したらあったので渡し、確か職員が拭いたやつを黒いビニール袋にいれていたので、そこへ入れた。「これ(汚物)はどこへ?」と訊くので、大急ぎで茶髪を探し、食堂でなんかしていたので事情を説明したけど、冷たく振り向きもせず「キチンと説明してください」って。ウワ〜ン・・・で、コッチ来て〜ってやると、例の部屋のばあさんからサッとオブツの入ったのを持ってどっかへ行き、汚物室のの扉をピシャっとしめた。
 ジジイがガタガタなったので面倒を見きれず特養にいれたけど、特養にはそのババアは入れず、時々ジジイの様子を見に来ているんやろうなあ・・・。

 昼食介助。今日は7階。ある車椅子の老人が窓のブラインドをどうにかしようとモガモガしていたので、私が手助けしようとしたら、例のミズノエタキコみたいなのも来て「こうしてほしいんちゃう?」って。それから仲良く長々と喋った。
彼女「私、ここへ連れて来られたとき、寝たきりで一切動けなかったのに、ここのおかげでここまで回復したのよ」「ほんと、ここの職員は皆立派よ。頭が下がるわ」
で老人問題の話題なって、私思わず涙ぐんだ。
私「自分自身ね、夫の親との同居なんかいや、無休の無償奉仕での老人介護なんて絶対イヤ!って結婚しなかったのに、息子産んで息子の嫁にみてもらおうなんて考え、もう無理やて。職員なら1日何時間まで、月何日休みがあってお金がもらえるけど」 
彼女「そうよ、その覚悟はもつっていうのは、ほんと、大切よ」「ただ、そう思ってても、大嫌いな人の世話にならなきゃいけないようになるのよ」
やっぱり彼女、家族から迷惑がられていて、つらいんやろうなって分かる。
私「将来、日本がスエーデンみたいなんになるように祈ってるの。あくまでも他力本願の私」
彼女、涙声で「日本は絶対スエーデンみたいにならへんわ。そんな豊かやないし」
私「日本かて豊かな国やないですか」
彼女「スエーデンは人口少ないからできるのよ。日本は無理なのよ」って、どういう理屈や。でも日本が将来福祉国家になるなんて無理やと感じているのね。自分が今つらいからそう思うんやろうなあ。
彼女「あなたも、こういう仕事についたらいいのよ」
いやあ・・・未だ迷ってます。
他の職員らがナンヤカヤやってるのに、私が喋ってばっかりなのは悪いと大急ぎで手伝った。車椅子ばっかり。痴呆が入ってないのばっかりだから、精神的には楽。ジジイ「氷入れてくれ〜」 しょうがないから、冷蔵庫から氷をとってグラスに入れようとしたら、又ワーワーもめた。ミズノエタキコが気をきかして、氷を入れるのに自分のスプーンを使ってっていうつもりやったんやろうなあ。は〜つかれた。

 私の昼休みは1時から。実習生の一人Mさんもエレベイターで鉢合わせしたので、一緒に喫茶店に行き、3時半の反省会までに提出しなきゃいけな感想文を書くことにして、近くの例のまっずいまずい喫茶店にした。店が広広としてテイブルも椅子もゆとりがあって、すいてるのが長所。二人でシーフードピラフを注文。店員がダメもう! それにまずいから私、半分以上残してしまった。大急ぎで感想文を仕上げて、走って戻る。

 食堂に年よりを集めて又同じヴィデオでリハビリ体操。「肩トントントン」「足バタバタバタ」 もうあきちゃったよ〜。寒々とした雰囲気で全員こなす。私も椅子に座って同じのをやる。

 なぜか午後はずっと暇で暇で。食堂行ったり、職員の受け付けコーナーの内部のソファに座ったり。こんなとこ閉じ込められている年寄りも(職員も)気の毒で。外部から遮断され密閉空間に閉じ込められている感じ。せめて小人数ずつでも午後から風呂に入れてあげられたら、老人達も気がまぎれるでしょうにね。なんもすることない老人達だから、私にどうでもいいことを頼んでからむからむ。もう、う〜んざり。気が狂いそう。

 実際ミズノエタキコも気の毒や〜。まわりはボケボケばっかりやろ。「ギョーエッ!」「ギョーエッ!」「ギョーエッ!」って何度も何度もえんえんと蛙みたいに喚くのがいたり。舌を特撮の怪獣みたいにニュ〜ッとのぼしたりしまったりをエンエンと繰り返したり、わけのわからんことばっかりブツブツ言うのがいたり。なんか怪奇映画の精神病院みたい・・・。

 なぜか、見たこと無い女性(眼鏡をかけた結構若い女の子)が来ていてお年よりたちと喋っていたけど、看護婦? それから職員達専用の受付コーナーみたいなところで茶髪の男の子らと机を囲んで座ってセッセと高い老人用歯ブラシを購入するよう勧めていたけど、歯ブラシの営業ウーマン?

 3時半チョット前に、茶髪に「3時半には6階で寮母長との反省会に来るようにと言われていますので、行かせていただきます。どうもお世話になりました」とサッと軽く別れの挨拶をして6階へ。

 最後に3時半から寮母長と実習生3人で反省会。こちらの寮母長さんはとても度量の広い方でよかった。実習生への説教など一切なく、私たちの老人介護のつらかったという本音をいくらでも言ってもいいのよって態度で、だから私たちも遠慮なく喋った本音を怒らず理解と共感を示してずっと聞いていてくれた。
寮母長「実際私も看護婦の資格があったんやけど、シモの世話なんかやってられないわよってやらなかったの。でも結婚して子供が生まれて下の世話とかするようになって泥まみれの格闘をするようになってからふっきれたのよ。それから私も覚悟を決めてここに再就職することにしたの」って。私にも「結婚も出産も育児も未だでしょ。そら、つらいわ」「あなた、全然笑わず、硬直していたもの。『えらいとこ来てしまったなあ』って感じ。最後にここにきてやっと笑ったわね。そら、そうでしょう」 
 「ミズノエタキコみたいな、口の達者なのいたけど、彼女も、まわりがボケボケばっかりでつらいでしょうね」って訊くと、寮母長「いや〜あの人も、この中では相当レベルが上ってだけで、あの人も一般人の中ではツライわ」「あの人、ここへ連れてこられたときは、寝たきりでひどい状態やったのよ。ここへ来てよくなったのよ」「でももうここを出てもらわなね」 どこへ? 「身よりよ。国が税金で、身よりの家に車椅子老人を受け入れてもらえるよう改築工事の費用等も出すのね」 はあ〜車椅子のボケ老人を、家族も迷惑顔でシブシブ引き受けるんやろな、ミズノエタキコもつらいやろうなあ・・・ウッウッウッ・・・可哀想。まあ、特養入居のために待機している老人がたくさんいるんやし、しゃあないんやろうけどね。
 それと調子にのって失礼なことも言った「職員さんたちは皆さん立派やし、頭が下がるし、清潔やし臭くないし、日本では最高レヴェルや思うけど(←他知らんくせに!)、でも私がもし入るならもっといいとこ入りたいです」って言っても、寮母長さん全然怒らず「でもそうしたら莫大なお金がかかりますよ」って。
私、まず個室じゃなきゃイヤ。下の世話、入浴介助は女性限定がいい。
寮母長「でもそれは難しい。数的にはおばあさんが多いし、でもおじいさんも少数ながらいるし。その調整が無理」
私「まあ、私個人的には、若い男の子らも老人介護を頑張っている姿には励まされました」
寮母長「そう! 女だけの仕事じゃないのよ。こういうお仕事に男も女もないのよ!」
 何もないところに閉じ込められている感じで、退屈なのいやだナドナド・・・。
寮母長「お誕生日会とか、もっと娯楽を充実させようとしているけど、職員死にそうなってほんと大変よ」 そうでしょうね・・・。
 で、寮母長が明るく元気にお別れの挨拶をして、二人ともニコニコと・・・私「あああっと!」 寮母長「何?」「あの黄色い紙〜!」 「ああ、はいはい」って実習記録を引出しから出して判子を押してくれた。

 私から最後の質問をした「一人あたり、月いくらかかるんですか?」
 寮母長「年金をもらうし、身寄りからも経済力や現在の状況等を総合した額をもらうし、さらに市の税金等もらうしで、一概には言えないけど、まあ一人あたり28万円ぐらいかかるなあ・・・」。安いのか高いのか・・・。
 Mさん「お年寄りの爪を切ってあげたんですけど、カルテを見ましたら、アル中で働いたことがない、全く身寄りのない方ももいらっしゃるみたいですけど、民生委員かなんかの息がかかっているあれですか?」」
 寮母長「市から委託を受けて、税金で」
 最後が気分良く終わった。で、やっと皆で、明るくお別れの挨拶をした。5時ごろ。
 でもMさんが、この後に例の入浴センターでの実習やて。カワイソウ〜。そこ、気ぃ悪いで〜。

 それから3人で喫茶店でお喋り。Mさんが1,500円のアフタヌーンティー・セットを頼み、私も一口、スコーンにジャムとクリームをつけたのをつまませてもらう。

 そのまま家に帰ったけど、夕飯は食べず。体重計をみたら、普段46kgやのに、43.5kgやった。お昼がまずかったからっていうのもあるやろうけどね。

   
   

  特養は職員の誠意と善意と努力と犠牲でもっている。制度をもっともっとよくしないと、ダメやろうなとは思った。そしたら莫大な金がかかるのでしょうね。

 私はもっともっといいとこで介護を受けられたらと贅沢なことことを思った。
 ・個室
 ・下の世話、入浴介助は同性限定。
 ・風呂は週2回は入れるよう法律で決まっているけどね。ガス代がもったいないせいか、その日の午後にまとめて全員いれるから、超忙しい。風呂は毎日沸かしてあったらいいなあ。入浴はゆっくりと。入る入らないは私の気分次第。毎日沸かして、この日は7階の老人達、この日は8階の老人達っていう風に小分けにしたらと思うけど、ガス・水道代がもったいないのかな〜?
 ・少数の職員が大勢の老人を管理するため、どうしても老人達の時間と場所の管理になってしまう。老人達を食堂に集めるのだけで職員にしたら、それだけでも大仕事よ(普通やったら、「食事の時間なったら食堂に集合してください」でいいのにね)。一人一人連れてこないかんから、最初に連れてこられたのは、他の残りの老人達が集められるまで食卓でじっと待たせる、食べ終わっても待たされる。私やったら、そういうのつらい。
 ・職員数にもっとゆとりを
 ・せまいとこにじっと待たされたり、退屈なのは嫌だ。もっと娯楽を。
 ・広い応接間みたいなのがワンフロアーあって、老人達と喋ったり遊んだげるヴォライティアみたいなのないかなあ? なんもすることないから、どうでもいいことを職員に頼む(からむ)ねん。うち、そういうとこあったら、ジジババ相手に麻雀か囲碁、将棋、トランプ、花札の相手ぐらいするで。もちろん金なんか賭けませんって。

 実際、4日間の体験だけでも、老人達と職員達の両方のつらさがよくわかった。

 仕事につくかどうかは未だ悩んでいるけど、体験してみたのはすごいよかった。世の中の人皆、一度は体験してみたらいいのに。

 若い男の子達が協力し合ってガテン系の明るさでやっているのを見て、何かがふっきれたとは思う。
 私の中のダメフェミニズメ的女の被害者意識が相対化された。「女ばかりが老人介護を押しつけられている、女って、女の善意、無償の愛、無償の奉仕って洗脳されて食い物にされてるけど、老人介護をする女性を「天使」とか取り上げられたら誉め殺しや!」って腹たつけど、男っぽいガテン系の職業としても確立されたらいいな。それに宗教的な洗脳的職場のイメージが払拭されるから(なんか、福祉系の仕事って、宗教や共産党っぽいの多そうって偏見があるから)。

 将来必ずのしかかってくるのは確実の実の親への老人介護へのアレルギーと恐怖で、事前研修みたいな動機で受けたけど、少しはましになった。

ホームヘルパー2級養成講座を終えて思うこと 

 頑張った! 自分を誉めてやる。

 一番ためになったのは、実習生としての体験。誰もが1度は受けてみるべきだと思う。

 でも、講義(か通信講座)と実技を受けてやっと受けられるのだし、それに健康診断(検便)。私も途中で挫折しそうになったから、そこまでしなくては受けられないのなら、世の中のほとんどの方々には敷居が高いままでしょうね。残念です。金も最低、7万円に消費税+18,106円や。

 将来への不安がかなりましになった。必ずのしかかってくる実の親の介護の問題、自分の老後とか、どうなるのか分からないけど、でも例の実習を受けたのと受けていないのとでは不安度が絶対違う。

 職業にするかどうかは未だ思案中。だけど女性にとって老人問題と福祉の問題はものすごく切実。ただ、女性の善意が食い物にされ、無償の愛の奉仕を強いられてきた歴史と社会制度があるので、この仕事への希望はもてなかった。ただ、若い男の子らがガテン系の明るさで老人介護の仕事をしている姿が一筋の希望。

   最後の9月30日(木)に終了式がある。「講義PM6時45分から/終了式PM7時55分から」とあったので、一応電話で「私、通信講座とった者ですけど、夜7時55分からのんだけでいいんですよね?」と訊いたら、女「できたら6時45分からの講義も受けてほしいです」やて。ここまで無遅刻無欠勤で行ったんやし、一応行っとくか。

 それからその学校から手紙が。その講義の時間に就職説明会をするそう。今、求人のきているところが、いくつか紹介されていて、例の入浴センターとかね。あの特養の名はない。結構マシやから人気があるのかなあ、やっぱり。で、他のひどいところからは求人がある、と。情報求む。

 


 

          11月14日(日)に、伊田広行先生のシングル単位の講演会で、他のゲスト・スピーカーが男性3人、女性が私を含めて2人。その内、男性2人がフリーの障害者介助人(30ぐらいのんと、40ぐらいのんと)。

 私が「特養って時間と空間の管理がキツイからや!」って言うと、

 30男の障害者介助人「障害者介助の仕事をやったらいいねん」って。
 「障害者が『今はたいした用事がないから、そこでジッとしとれ』言われたら、俺『はい』ってじっとしててん」「障害者の自己決定を重視しているから」

  ゲスト・スピーカーたちが伊田広行に色々言うのね。私を最初にして、後に残りの方々が深刻な問題を語って欲しかったのに、最初に男性二人が深刻な労働問題で、そして私が3番目ということになったのね(ややなあ)。で、自分は松沢呉一の影響で売買春全面肯定になった話しを。
 そしたら、次ぎの40ぐらいの身体障害者介助人の男性が「どうしようかなあ・・・ほんとうは、労働問題に関する話しをする予定だったんだけど・・・・彼女の話しを聞いて急遽変更します。異性介助の問題。障害者男性の買春の問題。この2点について」やて。私も、異性介助を見て気が遠くなったもんね。
 伊田先生の意見は、
@同性愛者のことも視野にいれなくてはいけないけど、とりあえず今は論点を整理するために異性愛者を前提にして意見を述べましょう。 
A異性に介助されるのは恥ずかしいという発想が今現代の大勢の人の発想だけど、将来的にはどう変わるか分からない。介助は人間対人間のものってなるかも。
Bもちろん、老人達が施設で「人手が足りないから、異性から介助されるのがイヤだけど、我慢しなくては」って我慢させられている状況を改善し、受けられる介助のレヴェルをあげるのは基本やと。 
Cその上で基本的には、障害者の自己決定を尊重し、(例え性的な欲望が下心にあっても)異性を介助者に選んでもいい(もちろん、セクハラはだめ!)。

伊田先生、障害者の買春についても述べられました。

 ディナーのとき、私のまわりの席ついたのが、例の障害者介助人、茶髪の20代ぐらいの男、太目の茶髪の女など色々座った。なぜかホウムヘルパーや障害者介助の仕事やってるのが多かった。もう一人きれいな女が議員やて。他の方々が「介護保険導入されたら、こうなって困る」みたいなことでワーワーわめいていたから、無教養な私、何がなんだか。私思わず、一人越しに「伊田先生、介護保険導入っていいことなの? 悪いことなの?」って叫んだ。

 伊田先生「基本的にはいいこと。でも、今、これまでの矛盾点がさらに激化して大混乱しているね」
「障害者運動のほうが先進んでいて、与えられる介助のレヴェルはこっちのほうがずっと上。老人介護のための介護保険が導入されたら、はっきり言って、(今までは家族の状況が悪い方たちのための救貧的な発想やったのが)障害の程度で介助のレヴェルを決めるということなったら、そら障害者のほうが障害度は上でしょ。勝ち取った介助保証のレヴェルも上でしょ。お年よりたちに、障害者並の介助を受けさせられたら、そらいいんやけど、でもそうならずに、障害者に与えられる介助のレヴェルを下げて、年寄りと公平にするなんて悪い方向にすすむかもね」

         

 

 


 

 

 

 

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