魅惑のレズビアン

 

 

2002年のゴールデンウィークに上京し、掲示板の常連とオフ会をした。とはいっても、yukikoさんだけ、だけどね。彼女は、掲示板に初めて書きこみしたときの自己紹介で「性、恋愛対象、心の性、全て女性です」って。

喋った、喋った。ああ楽しかった。

私、オタクだけど、彼女も結構オタクテイスト入っている。

すこたん企画と週刊金曜日の「オカマ問題」。伏見憲明。ポット出版などなど・・・。
ゲイ業界。
レズビアン業界。

私「そういや、あるゲイが『ゲイには、高学歴だからって全然もてないよ。それやったら、まだ土方のほうがもてる』って」
yukiko「そうだよ」

 で、何かの話題で、
yukiko笑いながら「私、学校も家ともうまくいかなくって若くてすぐ家を出て、社会に出てみたら、こんな男女不平等な現実があっていいのかと驚いた」って。

そこらのフェミニズムとは、全く逆よ、逆。
yukiko「学校や横のつながり、友達がいなくても、女の子だといくらでも男がよってきて保護されるし、水商売の世界行けば金になるしね。そこで能力発揮して自信もつしね。ところが男の子だと、それがないものね。男の子でダメなのはほんと悲惨よ」

私「それってブスやオバサン差別の裏返しじゃあない?」「まあ、異性愛の男は、女は若ければ若いほどいいって。どうってことない(容貌は絶対必要。学歴や肩書きや年収なんかなくってもっていう意味ね)女の子でも、10代だったらいくらでももてるいうのあるだろうけど。でも、逆に私は、男が若ければ若いほど性欲がヒートアップする感覚ないからなあ。「18歳」って聞いてもそれがどうしたって感じよね。男の子って、そら確かに若いってだけでもてるっていうのはないかもなあ」

yukiko「実は、レズビアンたちにもてるのって、若さってそんなに重要な要素ではないのよ」

 私、驚いた! 
 けど、まあ、異性愛男に比べたら相対的にはって程度でしょう。そら現実のリアリズムからしてもレズビアンたちも若くてキレイな女が好きだよ。ブス、ババアはもてへんでしょう。
 私、男から全然もてんけど、レズビアンにも、もてんやろ。これって、あくまでも、レズビアンを揶揄して「男にもてんからレズに走った」って言う連中への批判ですからね。

 私、すごい興味をもったけど、それ以上つっこまなかった。
 そのときの話の流れの腰をおって訳が分からなくなるといけないのが一つ。
 それと、「もてる女の重要な要素は何か」なんて話をしていたら、もてない私の心の奥底のコンプレックスが刺激されて、ネタミソネミヒガミウラミツラミで逆上して怒り狂ってしまってたかもしれへんしね。

 私は異性愛女だけど。これはあくまでも私個人の話ですよ。
 私は、「美少年」って単語にはズキーッとくる。出会いサイトとかメル友とかで、男性をプロフィール情報だけでチェックするなら、自分が今38のくせに、オヤジなんかよりは若い子のほうが当たりの確立が高そうって感じる。だって美少年アイドルが20代半ばから、早ければ20代初めで崩れはじめるものね。10代〜20代できれば前半。自分38のくせに! 
 でもそれは「美」と「男」が結びついたときだけね。「若さ」とは、「美」のための重要要素だけど、絶対要素じゃないものね。
 「18歳」とかだけで興奮するってことはない。並み(以下)の容姿で「18歳」とききゃあ下半身が興奮するってことは全くない。「高校生」「中学生」って単語にも興奮しない。「大学生よりも高校生」「18歳よりも、17歳。17歳よりも16歳」「高3よりも高2。高2よりも高1」「高校デヴューの入りたて」とか、なんて興奮度がウナリを上げてヒートアップするなんて全くない。異性愛男の感覚では、そういうのすごそうだけどね。
 ジャニーズのクソタレントなんかよりは、30代のGACKT、及川光博、河村隆一よ、マジで。
 じゃあ、10代の美少年と、30代の美男とでは? それも年齢じゃなく、その人のキャラクターが私好みかどうかよ、マジで。
 もてないブサイクなオバサンのくせに、えらそうに言うてま。そんなん、カッコイイのから全然相手されへんくせにね。
 まあ、レズビアンの多くは、異性愛男が女の若さに比例して性的興奮度がヒートアップ!っていうほどには、そこまではこだわらないって程度でしょうね。
 でも、「女は若さ」っていう価値観が、レズビアンたちには(異性愛男に比べたらやけど)それほどないっていいうの、驚き。すごいなあ。美貌はどうだ? 
 それにしても、yukikoさんから、レズビアンにもてる女ってどんなの? 異性愛男に比べてどうよ? って聞きたいけどね。
 ゲイの「東大よりは、土方」ぐらい強烈なインパクトのある爆笑ものの話題、あるかなあ?
 まあ、「対人コミュニケーション能力のある人」とか「一般社会でも十分やっていけるぐらいの社会性のある人」かな? 「私仕事イヤ。私を専業主婦にさせてくれるぐらいの経済力のある人」とかも人気ある? つまらね。私、レズビアンからも、もてねえな。まあ、私、例え若さと美貌があったとしても、中身がダメやから、異性愛男にもレズビアンにももてへんかったやろうけどな。

 伏見憲明が、こんな感じのことを言っていた(厳密な引用ではない)
「僕は、男の過去の男性経験にはまったくこだわらない」
「男が過去にセックス売ろうが買おうが、後々笑い話にしかならない」
「女子高生の援助交際がなんであんな大騒ぎになるの? たかがセックス売るぐらいのこと、たいしたことないじゃない」って」
 驚いた。ゲイの発想ってすごい! 一般的な傾向だけど、異性愛男が女性に過去の貞操を求めるけど、異性愛女って男性に過去の貞操とかそんなに求めないでしょ。ゲイも、異性愛男に過去の貞操とかに価値をいだいていないのね。

 ゲイ、レズビアンたちに、ききたいな。
 恋愛の対象に求めるもの。若さ、容貌、過去の貞操、現在の貞操。家柄、学歴、肩書き、年収などなど。

 

 それにしても、yukikoさんとの話、面白くって面白くって。
 ゲイ・カルチャーが、マーケットに異性愛女をうまいこととりいれて、そこそこ商売になりだしたでしょ。伏見憲明がそう。彼の本音は「ゲイだけを商売にできたらいいいのに、仕方ないから女も客にしている」のかもしれんって割り引いて考えなきゃいけないけどね。
 yukikoさん、なげいていたけど、「レズビアン・カルチャーは、ゲイ・カルチャーに比べたら確かにひ弱いけど。雑誌も発行したけど、売れなかって休刊したし。ただ、それを発行者たちが『男性中心社会における女性たちの経済がひ弱いから』とばかり言うのは甘えじゃないかなあ?」「女子高生だって、お金なくっても、なんとかお金をひねりだして、携帯電話の通話料月何千円も払っているのだし」

 おっしゃること、よ〜く分かります。そういうのをよ〜く分かった上で言いますけど。
 それと、これ、微妙な問題なんだけど。
 昔だったら、小資本で小人数の(しかも未熟な)スタッフでゲイ向け雑誌を発行したら、そこそこ商売になったでしょ。今はもう、それも難しいかもしれないけど。ええっと・・・その・・・こういうことを言うと、お気を悪くなさるかもしれませんけど、昔だったら、男の裸の写真やバーの情報と文通欄とか載せたら、そこそこ売れたのでしょうね。ゲイ・ポルノを養分と駆動力にして、ゲイ・カルチャーや情報を大勢のゲイたちが下支えしてくださったのでしょう。こういうことを書くとすごいお気を悪くなさる方々がたくさんいらっしゃるでしょうけど、でも、ゲイ・ポルノが駆動力になった面もあるってこと、認めないとね。
 逆に、レズビアン対象に、女同士裸でからんでいるのを載せたら即売れるって訳でもないしね。レズビアン・ポルノ、売買春店が巨大マーケットなるか? そういう意味で、ゲイに比べたら、手軽な養分やエンジンが思いつかない。

 私は個人的には、ゲイたちの発想や文章が最高に面白いし。伏見憲明なんて、お客サン、ゲイよりも異性愛女のほうが多いんちゃう?
 そしてyukikoさんと話して、レズビアンの方の話の面白さに目が開かれました。
 異性愛女対象に、ゲイ・カルチャーが人気出始めているでしょう。でも未だレズビアン・カルチャーって面白いの、未だ未だ紹介されていない。異性愛女も客にして、花開かせるというの、ないかなあ?

 

異性愛女のレズビアン志向。異性愛女のゲイ志向。異性愛男のレズビアン志向。

 美少年同性愛もの『JUNE』の人脈なんだけど。その中でも、色々な志向があるわね。

石原郁子(いくこ)。美少年趣味。 彼女の映画評論『菫色の映画祭』のラストを読めば、彼女は男性とレズビアン関係を結びたい人なんだなあ・・・。

逆に、神崎春子は男とゲイ関係を結びたい人なんだなあ。
『ベイシティ・ブルース』では、男に対して、愛情半分、ギャグパロディと悪意半分じゃないかなあ? 私はそう読んだ。 だって、性的にズキズキくるし、それでいて笑ってしまうんだもん。
『JUNE』歴史解説みたいになるけど、彼女は、エポック・メイキングな方だと思うよ。 マッチョゲイ・テイストを導入した。 刑事ものなんだけど、刑事ドラマのやおいパロディでもあるし、結構ハードボイルドとして読ませるし。
同じ部署の刑事二人が恋人同士。 一人がマッチョ(これが、それまで絶対いなかったタイプ)、一人が繊細美形。 繊細美形刑事は、悪者にさらわれてかなりハードに責められ、そして犯されます!  マッチョ刑事が悪者をつかまえたら、悪者「マッチョ刑事に犯されて、それから好きになったのに、恋人がいるなんて悔しくって。 それでつい恋人をさらってしまったんだ」爆笑! 
繊細刑事が犯されても、それでもマッチョ刑事は全然気にせず恋人関係を続けます。いいなあ爆笑!!
これ、シリーズもので、毎回毎回、繊細刑事は悪者にさらわれて犯されます。いや〜刑事ってほんと大変な仕事ですね(大爆笑)!
彼女は、「マッチョ刑事に感情移入している」「自分は、女役なんてイヤだ」って。でも、繊細刑事が女のようにもだえる描写に熱が入っているなあ。男を性の対象として積極的に能動的に客体化していますね。悪意半分、本気半分でしょう。

男でも、レズビアン志向いるね。
蔦森樹(つたもり たつる)『男でもなく女でもなく』。
麻姑仙女(まこ せんにょ)『クィア・パラダイス』。ゲイの伏見憲明が雑誌の連載で、大勢のセクシャル・マイノリティたちと対談したのをまとめた本の宣伝をした『クィア・パラダイス』。その一つに、男から女に性転換手術をし、でも恋愛の対象は女性だって。ドキーッ! もう読みたくって読みたくって。それで麻姑仙女を知った。外見のこと言うと失礼だけど、地味ね。でも中身、愛している。

私、カムアウトします。私、女の子みたいに可愛い男の子と、レズビアン関係を結びたいです。

ずっと前TVで、恋人募集っていうのがあって、結構かわいい女の子が「女装の似合う男性」って。 私ドキーッ! 彼女、キムタクの女装写真みたいなのにドキドキしたって。 私、期待しながら見たら、やってきたのが30すぎのマジもののキモイ、ブサイクな女装オヤジ。 彼女、ハラハラ気を使いながら断っていた。
イケズな司会者が面白がって「断る理由言って言って」やて。
彼女「年が離れすぎているし・・・・遠距離だし」君はなんて優しいいい子なんやホロホロホロ。
私もイヤヤ〜。そういう私、ダサイブサイク、もてへん、さらにもうオバハン。 自分こそダメなくせに、すっげー棚にあげてひどいこと言うてま。

あるサイトで、男から女に性転換したニューハーフで、性的サーヴィスを売る宣伝をしているのがあってね。『デリバリー変態プレイ Cotton Club』 ニューハーフの「ことね」。客は男女両方だって。で、あるレディス・コミックをたまたまチェックしたら、彼女(?)が連載エッセイもっていて「実は女性のほうが好き」だって。ドキーッ! 私、客なろうかな・・・。
ニューハーフで、恋愛対象が女性っていう方、私、結構ドキドキする。

「出張ホスト スーパーガイド」 をチェックしていたら、
「ROSE SHEMALE」が登録されていて「関西で初めてのニューハーフ、女装子さんのための出張ホストです。ご利用お待ちしています。」って紹介されていた。
私、大阪在住で、女の子みたいに可愛い男の子が大好きだから、ドキドキしながらクリックすると、なんか違う? 登録されているホスト、オッチャンばっかり・・・。なぜ? どうも「お客様はニューハーフか女装男性がいい」っていうホストが集まって登録したってことか・・・。な〜んだ。ガクーッ・・・・

で、逆に、宝塚とか男装の麗人とかオナベ・バーとかは全然興味ないし、燃えないのよね。女同士の性風俗っていうの、できたの知って驚いた! でも全然客なりたいなんて思わない。興味は学術的な分析の素材としてね。

出張ホストで、女装してくれるのないかな? もちろん美少女みたいなのよ。ブサイクオヤジはダメーッ! まあホストかて美少女でお金持ちがお客さんなってくれたらそらうれしいて、うちなんかが客なったらいややろうなあ・・・。

レズビアンたちの本とか。けっこう出ているけど、いいの少ない。

 性的興奮、言えないのね。

 掛礼悠子(かけふだ ひろこ)『「レズビアン」である、ということ』の最大の欠点は、女性への性的興奮が書かれていないことだと私は思う。後書きで、「女性の魅力が欠けなかったのが心残りです」みたいなことを書いていたけど、じゃあ、書けよ! 
 この本の主題は、男性中心社会制度への女性からの抗議ね。
 もちろん、彼女は男性中心社会にける、抑圧されて女性が男性中心社会制度への抗議と、レズビアンであることと、とを混同しないでほしいと詳細に主張してはいましたけどね。女性への恋愛や性欲と、男性中心社会における女同士の連帯とを混同しないでほしいとも。でも女への恋愛や性欲を書かないと、読者もそこらへんが分かりにくいしつまらないし。

 他の方々もなあ・・・。男性中心社会とか、海外におけるゲイ状況とか、リプロダクティブヘルスライツがどうのとかなあ・・・。おもんない・・・。

 ただ、ある女性歌手がカミングアウトするために、掛礼悠子が果たした役割は大きかったって。
 雑誌の見出しにでかく「超有名女性歌手がレズビアンをカムアウト!」って。でも当時は未だ正体を隠したままで、掛礼悠子のほうが写真掲載をして取材した。その歌手も、高学歴で人権問題に問題意識が高く、セクシュアリティの問題も人権問題だって主張する彼女なら細心の配慮を払ってくれるだろうという信頼をもてたのでしょうね。
歌手「オリンピック中継で、○○選手を見て恋をして。好きで好きでたまりません」って。そこがいい。
 そして笹野みちる『カミング・アウト』 

 川西由樹子『Q式サバイバー』の彼女は、男性とも仲良しらしい。ただ、いくら性格よい男性でもセックスは体が拒否して受けつけないって。女性だったら体がメロメロにとろけるって。そこがいい。
 レズビアン・フェミニストを徹底批判した(だけじゃなく、硬直した人権運動家、学歴偏重社会批判するやつとかなどにも向けられているけどね)。
 とはいっても、この本で一番面白かったのは、とある宗教信者で「ノアの箱舟」みたいなことを望む家族への怒りのことだけどね)。

 セックスへの罪悪感があるからか「男性中心社会での男性との関係は抑圧的である。女性との関係には、新しい対等の可能性がある」とかウンチャラカンチャラ屁理屈こねますのいて性欲のことにはふれないのいるのよ。

 古いゲイにも、男性への性欲への罪悪感があるからか、女性の全人間性への罵倒をし、男性賛美をするのいる。そんなん、「性格の良し悪し関係無しに、カッコイイ男性見ると性的にメロメロなるんです〜」「例えどんなに心がキレイでも女性とのセックスはダメなんです〜」言えばいいのにね。

 ドアホな悪口言うやつには、ついついセクハラ発言したくなるで「ヨーッヨーッ、ニイチャン、ホモ雑誌の男の裸の写真見てオナニーしてるんやろ〜、偉そうなことぬかすなよな〜」ってね。

 でも、少しずつ、エロスのあるレズビアン・カルチャーの萌芽が見え始めています。

 男性へのドアホな悪口の言うレズビアンには、ついついセクハラ発言したくなるけど。偉そうにぬかすな、って。でも正直に女性への性欲を言うレズビアンに対してはセクハラ発言するつもりはありませんからね。

 私、可愛いの絶対! ひどいこと言うてま。可愛い+中身。両方。ほしい。外見も中身もない自分のこと棚にあげて、贅沢言う言う。

 レズビアンが「ブスいや」「おばんイヤ」とか、まだちょっと書けないかなあ? それ書いたら、私も気分悪いし支持せえへんかもしれへんけど。

 少し違うけど、川西由樹子が、ファッション・センスのださいレズビアンが理論武装しているのを批判していたけど。

 「こういうタイプが好き」って言うのがボチボチ出始めているけどね。

 

 余談だけど。

 オヤジって「ブス死ね」「ババー、オエッ」「ブスがTV出るな! 視覚公害だろうが」って言うでしょ。自分のことを棚にあげて。

 女性は、いくらなんでも自分のことは棚に上げて言いたい放題言わんでしょ。

 ああ、そう言えば。ゲイは、いくらなんでも自分のことは棚には上げられないでしょう。
 オヤジが「男は顔、若さじゃない。でも、女は若さと顔だからな」って二重基準を設定して言いたい放題でも、ゲイは好き勝手言いたい放題言えないのでは?
  オヤジゲイかて、天に唾を吐くことになるのだから。

 レズビアンも、自分のことを棚に上げて「ブス死ね」「ババー、オエーッ!」なんて言えないでしょう。
 美人レズビアンが「ブス死ね」、若い女の子がババーを全否定しても、自分もいつかはババーになる、ということぐらいはわかるでしょう。これも天に唾を吐くこと。