1997年度 OV ベスト

 

『映画イヤーブック1998』
「オリジナル・ビデオ・ムービー」担当、中村勝則が1997年度OVの大まかな流れを解説

 

『ザ・ニュー・リリース』誌 「ビデオオリジナル・ベストテン」
@『FULL METAL極道』 監督:三池崇史 原案:山口広喜 脚本:江良至 出演:うじきつよし、田口トモロヲ          中村勝則も絶賛
A『突撃ラクガキ愚連隊』       監督:高橋伴明(ばんめい) 脚本:長田勇市 出演:泉谷しげる、哀川翔、大杉漣
B『雀魔アカギ』          原作:福本伸行(のぶゆき) エグゼクティヴ・プロデューサー:飯田嬢ニ 監督:舞原賢三 脚本:田辺満 出演:柏原崇(かしわばらたかし)、古田新太(ふるたあらた)、寺田農(みのり)、中尾彬(あきら)
C『痴漢日記5・尻を撫でまわしつづけた男』 (未見)
D『ニューハーフ物語・わたしが女にもどるまで』 (未見)
E『DOG TAG』 (未見)
F『野良犬2匹に猫1匹』 (未見)
G『リストラ代紋2』 (未見)
H『止まり木ブルース/ナリタブライアン&ミスターシービー』 (未見)                  
I『霊界学校・麻子先生の首』 (未見)  

 

 

          『突撃ラクガキ愚連隊』、ジャケット見ると、哀川翔主演だけど、セックス産業の情報誌を舞台にしたって。やだなあって、鼻つまんで避けたけど、↑で2位になったのを知って、一応チェック。そしたら結構面白かったよ。最初はヤクザな業界をスリリングに、最後は人情話にきれいにまとめたの。高橋伴明監督の職人技も光っているし。いい監督ですね。

 ただ、ジャケットでは泉谷しげると哀川翔との二人のビッグショーってな感じだったけど、ほんとはあくまでも主役は泉谷しげるで、せっかくの私の大好きな哀川翔は彼の助手って設定で地味で眼鏡かけてて、別に彼でなくってもいいって感じで、せっかくやのに残念。


 福本伸行の麻雀漫画『アカギ』が、柏原崇主演でOV化された『闘牌伝アカギ』ってのは、私も大好き。で、再び続編でOV化されたけど、ジャケット見たら、前回学生服の初々しい少年だったアカギが、あれから何年かたって成長したって設定やけど、真中分けのロンゲがイマイチ私の好みでなかったの。

 それと原作では、まだほんの13歳の少年だった赤木しげるがヤクザを賭け麻雀で見事打ち負かして(ンナ無茶な)から姿を消し、工場で住込みで低賃金で暮らしていて、同僚のしょぼい男の子・治が先輩達3人から麻雀でカモにされていたのをかばって、先輩達に「ほんとうのギャンブルをしましょうよ」ってもちかけて全財産を奪い取って工場を飛び出し、治がアカギを慕って追いかけてきて、情にほだされたアカギが治の面倒を見て・・・って私がズキズキする設定やったのに。
 このOVでは、そこのところオコゲ心が分かってないなあ(←なにをえらそうに!)。OVでは治との交流は全然省かれていて、最後、ダメな治が先輩達に脅されてアカギの偽者を刺し殺して、アカギがそれを見て無視して幕って、ダメなやつはダメってイヤ〜ンな話。

 ただ、面白いことは面白かったよ。
 古田新太の関西から来たプロの麻雀師がいい味だしてたし。
 彼との対決も、麻雀を知らない私にでも楽しめるように、スタイリッシュに描いていたし。

 ただ、前回の『闘牌伝アカギ』のほうが、後味がいいから(それにオコゲ好みやから)好き。


 『FULL METAL極道』 ↑で1位になってたので一応チェック。暴力団の情けない下ッパが銃撃の巻き添えで死んだはずなのに、とある科学者の力で超合金のロボットとして生きかえり、自分と兄貴分を銃撃したヤクザどもに復讐するって、んな無茶なって設定やったけど、ヤクザ映画のファンと、SF好きのオタクとの両方を狙ったのね。三池崇史監督の職人ぶりで結構見せる。
 漫画『代紋 TAKE2』(原作:渡辺潤/画:木内一雅)で、ヤクザがタイムスリップしてって設定にも、とんでもないなあって驚いたけど、これはもっととんでもないでしょ。

 オタクな私には、マッド・サイエンティストの役の田口トモロオがよかった。その役を、オタクとして、オタク特有のクサイ喋り方を過剰にクサイ演技で演じていて(その通り! 確かにオタクの喋り方はそうなの、クサイのよ)、私は結構楽しめた。

 主役の情けないチンピラ役うじきつよしって、昔「子どもバンド」ってロックバンドをやっていて、すっごいカッコつけていたんやで。大真面目に「アメリカ進出を狙う!」ってやったんやで。それがショボショボショボ・・・。今や、TVでヴァラエティにでてたり、生臭い情けない男の役を演じたりしているから、そのギャップがすごい。他にも自衛隊を舞台にしたコメディ『右向け左!』に出ていた。