ウニウニのため様からのお手紙 1999年11月25日

        はじめまして。「『JUNE』への批判」を読んだ者です。私、「ウニウニのため」です。「怪情報」のあの文章はずいぶん前に書いたもので、結構、恥ずかしい。
http://www.adjustnet.com/gekko/11/lhs3.html←ここで私の今の考えが読めるので、もしも興味があったら読んでやって下さい。

今の私は『やおい幻論』支持者です。なぜなら、当時も今も、私の悩みは「私は男子になりたい(変性願望)」というものだからです。

中島梓などの「私はもてるわよ」という態度は、セクシャルマイノリティなのにそれを自分で認めない男性が「俺はオカマじゃない!」とがんばってる様子に似ているなあ、と思います。

私は「怪情報」当時、「"女性化"出来ない自分」にとても苦しんでいたので、脳天気(?)に「私は、ちゃんとした女性」と主張する中島さん達には、本当に腹立たしさを感じました。

あと、私は「"女性化"出来ない自分」をとても否定していたので、「"女性化"出来てない人」に厳しかったです。それで、「梓、ブス!」と怒った。それと、「ブス」なのに「私は美少年」と言いきる梓にも、「変性願望」のある私としては耐えられないものがあった。

今でも中島梓は、「自分は女性」であることを守りたいために、「拒食症」を否定し「オタク」を否定し、「世の中」全体を否定する。

中島梓は「自分は女性」であることを守りたいために、ゲイカップルの性行為を「下水道に精液が流れていく」などと表現する。生殖に結びつかない性を「タナトス」と表現する。もういいかげんにしてや〜という感じだ。

私は「怪情報」当時、橋本治が好きだった。「ゲイを差別すんな!」という気持と「ゲイってダメさ〜」という気持が同居する橋本の心理に同調してしまったのだ。でも私は今は「自分がゲイであることにイジケないゲイ」のように成れたので、セクシャルマイノリティを否定する橋本治は大嫌いです。

長くなってしまった。ではさようなら。

unitin@mail.goo.ne.jp
       

 

私のお返事

        ウニウニのため 様



>はじめまして。「『JUNE』への批判」を読んだ者です。私、「ウニウニのた
め」です。「怪情報」のあの文章はずいぶん前に書いたもので、結構、恥ずかしい。


 驚きました! まさかあなたからのアクセスがあるなんて! どうやって、こんな
しょぼい、未だ未完成のサイトに? やっぱり「中島梓」で検索で、うちのんにヒッ
トしたのかな?
 光栄です。これは皮肉やないですよ。ほんと、あの「中島梓はなんなんだ!」は傑
作やったし。
もともと、時間的余裕ができたら、あの論文についてかなり好意的にとりあげるつも
りやったんです。
こうやってメイルをいただいたから、オベンチャラを書いているんやないですよ、ほ
んまに。
 未だ工事中で、あそこに書いたのは、あくまでも大雑把な骨組みだけですから。他
にもやりかけのやつだらけなので、長いことほったらかしやったけど、こうやってメ
イルを頂いたからには頑張ってすごいのを完成させなくては。

http://www.adjustnet.com/gekko/11/lhs3.html←ここで私の今の考えが読めるの
で、もしも興味があったら読んでやって下さい。


 わ〜い。私もこういうのをもっともっと読みたいと思ってたの。余裕ができたらリ
ンクをはるし、紹介するし。


>今の私は『やおい幻論』支持者です。なぜなら、当時も今も、私の悩みは「私は男
子になりたい(変性願望)」というものだからです。


 ただ、ちょっと失礼。あの『やおい幻論』については、私の思いとはまったく違う
し、いや、そら「やおい」に対する思いはそれぞれ百人百様やろうけど、それにして
も「彼女、うそ臭い」って厳しくツッコムつもりやったのね。だから、その点につい
ては、意見が分かれるわね。
 私は「ブスのコンプレックス」って部分もあるのを認めた上で、でもそれだけでは
ないって主張ね。
 中島梓、石原郁子は「男性中心社会で傷ついた繊細な女の子」って主張だけで、そ
れだけだとどうしても偽善やわ。
 榊原シオミも「ブスの現実逃避」って部分を避けて、いいカッコの理屈を捏ね回し
ているのでは?って書くつもり。ウニウニのため様の文章も読みましたけど。でもそ
れって、ほんまに男に性転換した方々やオナベさんたちが納得しないのでは? キツ
イこと書いてすみません。ホウムペイジにアップロードできるほど、キチンとした文
章にまとまるのは、まだまだ先のこととなるでしょうけど、でもそのときは又ご笑覧
ください。

>中島梓などの「私はもてるわよ」という態度は、セクシャルマイノリティなのにそ
れを自分で認めない男性が「俺はオカマじゃない!」とがんばってる様子に似ている
なあ、と思います。
>
>私は「怪情報」当時、「"女性化"出来ない自分」にとても苦しんでいたので、脳天
気(?)に「私は、ちゃんとした女性」と主張する中島さん達には、本当に腹立たし
さを感じました。
>
>あと、私は「"女性化"出来ない自分」をとても否定していたので、「"女性化"出来
てない人」に厳しかったです。それで、「梓、ブス!」と怒った。それと、「ブス」
なのに「私は美少年」と言いきる梓にも、「変性願望」のある私としては耐えられな
いものがあった。
>
>今でも中島梓は、「自分は女性」であることを守りたいために、「拒食症」を否定
し「オタク」を否定し、「世の中」全体を否定する。
>
>中島梓は「自分は女性」であることを守りたいために、ゲイカップルの性行為を
「下水道に精液が流れていく」などと表現する。生殖に結びつかない性を「タナト
ス」と表現する。もういいかげんにしてや〜という感じだ。

>
>私は「怪情報」当時、橋本治が好きだった。「ゲイを差別すんな!」という気持と
「ゲイってダメさ〜」という気持が同居する橋本の心理に同調してしまったのだ。で
も私は今は「自分がゲイであることにイジケないゲイ」のように成れたので、セク
シャルマイノリティを否定する橋本治は大嫌いです。


 う〜ん・・・一気に大嫌いなっちゃいましたか。そら又極端な・・・。
 私、あなたの例の中島梓批判の論文は傑作や思うし、好意的にとりあげる予定だけ
ど、ただあまりにもベタ甘すぎたらいやらしいから、チョッピリだけ皮肉をきかせて
「だけどね、あなたの崇拝している橋本治も浅田彰も、同様に現実に追い越されて
まっせ」「ゲイの方々の中には、カムアウトして世間の目と戦って愛をつらぬいてる
のがでてきてるのに、なんやモゴモゴして!」って。でも、もうあなたからも見放さ
れましたか。そらもう、あきまへんなあ。

>長くなってしまった。ではさようなら。

 いえいえ、とっても楽しかったですよ。
 又よかったら、遠慮なくメイルをくださいね。

 これからもメイルのやりとりか、掲示板での意見交換もできたらいいですね。
 もしよかったら、このメイルを、私のホウムペイジに公開してもいいかしら。いや
なら公開しませんし。



のら猫の手 Noranekonote
noranekonote@geocities.co.jp

「がらくたの山」http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/2739/
    

 

ウニウニのため様からのお手紙 1999年12月3日

        のら猫の手 様

 お返事ありがとうございました。うれしかったです。私、「やおい」や「やおい幻論」について人がどう思ってるのか、実はよくわからないんですよ。なんとか誰かとコミュニケーションしたかったのです(でも私、「掲示板」使えないんですよ〜。パソコン初心者。会社のパソコンだし)。

 どうやってそこにたどり着いたかというと、たしか「やおい幻論」で検索したんじゃなかったかな。「タナトス…」だったかな。他人の「やおい観」を知りたかったのです。

 で、今回、のら猫の手さんのメールを読んだら、「幻論」について「彼女、うそ臭い」「いいカッコの理屈を捏ね回しているのでは?」と書かれていたので、「おお、そういう印象を持つものなのか!」と思った。

 私の「幻論」の印象は、「言って欲しかったことを言ってくれた」という感じで…。「やおい少女」に「変性願望」があることは、私は前から「知っていた」のです。私がそういう人生を歩んでいるわけですから!(ホントよ〜!信じない?どう思う?)。考えてみたら「幻論」には榊原氏本人の状況は書かれてなかったのですが、私としては自然に、榊原氏も"そういう人"なんだと思いました。

 思った通り、「鳩よ!」4月号(←確か…)のインタビューで榊原氏は「ずっと女のフリしてた」と言ってた。榊原氏の「性自認」は、ばっちり「男性」のようです。

 「幻論」に対して「そんな"高尚"なことじゃない」と反発する意見が雑誌にのってたんですけど、「高尚」とかじゃないんですよ。オナベ。単なる、ナベによるナベ話です。

 トランスジェンダー云々って説は、「理屈」を思いついたわけじゃなくて、本人の「事実」("性自認"や変性願望、いわば「オナベ」)がまずあって、「私はこうなんだけど、あなたもそうなんじゃないの?」という考え方なのです。

 「性自認」が男性の榊原氏ですが、「自分は男っぽくしようという気はない」といったような事も言ってました。私の場合は、結構、「見た目」は気になりますね。でも、正直言って、「不妊」になるようなことはしたくない、と思ってますし、胸をさらし等でつぶすのも、抵抗があります。今の私は単なる「ジェームスディーンみたいな女の子」ですな(実は「怪情報」当時の方が「性転換願望」は強かった)。

 それから、のら猫の手さんは「ほんまに男に性転換した方々やオナベさんたちが納得しないのでは?」と、おっしゃいますが…、実は、確かにその通りなのです。しかし、彼らが納得しないからといって、「じゃあ私は単なる異常者ってことで」なんて自己否定できません(←あ、私と榊原氏に関してはね)。

 世間が持つ、ステロタイプのトランスセクシャルイメージには、悩まされています。でも、「ステロタイプのトランスセクシャル」本人は、もちろんそれで困ってないんですよね〜。

 「軽度(?)の性別違和」については、最近、性科学業界(??)では認められてる印象があります。最近の、セクシャリテイ関係の本を読むと、ちゃんとそこらへんの人の事も語られている。で、「性転換した人」や「オナベ」さんは、そういう「リブ系」を嫌ってて、本読まないのよ〜。

 「性転換した人」や「オナベ」って、けっこー「保守的」なんですよ。ふつーのおじさん、おばさんって感じ。かえって、「普通の人」よりも頭かたいかもよ。「男は男らしく、女は女らしく」みたいなこと言うし、平気で異性装者や同性愛者を差別をするので、彼らの言ってることなんて気にしちゃやってられません。

 でも、「トランスセクシャル」の定義に、なかなか厳しいものがあるのは事実なので、私は自分のことは「トランスセクシャル(TS)」ではなく、「トランスジェンダー(TG)」と表現するようにしています(でも「TS」でいいのかもしれない)。

 私と榊原氏の事情は、こんな感じなんですけど…。「やおい少女全般」がどうなのかというと…。う〜ん…。正直言って、よくわかりません。ただ、例えば、ゲイの人が「不自然な、自称ヘテロの人」を見て「お仲間かも」と思ってしまうような心理が、私と、榊原氏には、あるわけです。

 「やおい少女全般」と「TG」についての私の考えは、「やおい少女は、男になりたいわけじゃない。だからTGじゃない」という意見はわかるんですけど、中島梓に代表されるような、「やおい少女は、男になりたいけど、それはTGじゃない」といった意見には、納得できない…という感じです。

 私は「怪情報」の頃とちょっと変わってしまったかも。がっかりした? でも、「夢見て暮らすのは嫌だ。現実が欲しい」という気持は同じです。だいたい、あの「中島梓はなんなんだ」も、「男子になりてえ〜!!」という発狂気分で書いたのだし。

 「やおい少女」と「ブス」の関係については、私はついつい「女性性拒否系(TG系)やおい少女」に関してしか考えてないんですけど、

その1.「ブス」(顔立ちが悪い)ために、「性別違和」になった(「性別違和」の後天的要因)。←身も蓋もないと思われるかもしれませんが、「顔」って、結構「重たい話」だと思うんです。

その2.「性別違和」があるため、うまく「女性化」できない(その様子を「ブス」と)。

その3.「女性化」できてないのに、「私は女性化できてるわ!」と信じている様子、がんばってる様子が、ブス。

 などなど…考えております。中島梓を思い浮かべながら考えてみました。

 …私の考えと状況は、こんな感じなんですけど、のら猫の手さんはどう思われますか?良かったらまた、返事下さい。

 メイルを、ホウムペイジで公開したいとの事ですが、どうぞ、かまいません。ってゆうか、ありがたいです。

 じゃあ、また。

ウニウニ
unitin@mail.goo.ne.jp