山下柚実 『SAPIO』1999.5.12 批判

 

 

『SAPIO』1999.5.12

欧米の死亡例を一行も報じない大新聞の「避妊薬ピル」"安全神話"の落とし穴

「六月に承認」、「今秋から販売」と大々的に報道されている新種の避妊薬、低用量ピル。合成ホルモン剤を毎日服用することで、身体を「擬似的な妊娠状態」にし、排卵をストップさせる避妊法だ。効果は九五%という。

 この薬の認可によって「女の権利が広がる」、「妊娠の心配がなくなる」といったイメージがマスコミを通じて広がっている。

 だが今回の「解禁」は、十分に情報が開示され、議論された結果だろうか?すっぽりと覆い隠され、死角のように見えない部分に、重大な事態が隠れているのではないか? 

 いつの間にか「男対女」の対立の構図に取り込まれ、政治的に振り回されてきた観のある低用量ピルについて、解禁秒読みとされる今だからこそ、冷静に論点を整理してみたい。
 
まさかバイアグラとの抱き合わせ認可?

 まずは簡単な経緯から。
 製薬会社九社が低用量ピルの輸入・製造承認を申請したのは九0年のこと。通常、新薬は中央薬事審議会で審議され、二回ほどの常任部会を経て認可されるというが、ピルの場合は違った。HIV感染拡大を懸念する「公衆衛生上の見地」から、審議はいったん中止。

 九七年審議が再開し、「有効性と安全性は確認された」(中薬審・調査会)と伝えられたが、HIV問題に加え、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)とのかかわりを新たに議論するなど、申請から九年目の今年に入っても、結論は出なかった。

 しかしこの三月、事態は急転する。

 三月四日、新聞は一面で大々的に「低用量ピルは実質審議を終え、六月に承認」と報道し始めた。膠着していた審議が、一気に解禁の方向へと動き出したのだ。

 低用量ピルの審議は、長々と続けられてきた。現行の医薬行政から見て、また他の薬と比べても、「九年」は例外的に長い。その長さが結果的に、「女性の権利を阻む審議」という反発を産んできた。そして今回、バイアグラが約六か月という異例のスピード審査で認可されたことに対して、「男性むけの薬と女性むけの薬で差がありすぎる。女性差別ではないか」という批判が噴き出した。

 それに呼応するようにして、「ピル解禁へ」の大報道。まさか、バイアグラ承認との抱き合わせで、内容の違う薬の認可を急ぐことなどあってはならないし、厚生省も「バイアグラとは関係ない」とコメントしているが、ではここへきて一気に「解禁」へと動き出した「低用量ピル」とは、いったいどんな薬なのか。本当に、「安全性は確認済」と考えてよいのだろうか?

 私がそんな疑問を抱いたきっかけは、偶然手にした、一枚の業界紙面だった。

 「日刊薬業」という業界紙には、こんな見出しがあった。
「ノルウェー マーベロンの使用を全面禁止 ノルウェーの厚生当局は、経口避妊薬マーベロンの使用をほぼ全面的に禁止した。
当局は、他の避妊薬使用が適当でない場合を除き、同薬剤を処方しないよう医師に通達するとしている」(平成八年一月十日)。

 その理由として、「血栓症のリスクを高める試験結果に基づくもの」とある。続けて、「ドイツと英国の厚生当局も同じ理由でマーベロンの使用を中止するよう使用者に勧めている」と記されていた。

 この「マーベロン」という薬、調べてみると、日本で申請中の「低用量ピル」の一つではないか。「安全性は確認済」という報道と、あまりにも食い違ってはいないか?

 私はさっそく、この薬の輸入・販売元、日本オルガノン社に取材を申し入れた。しかし、「対応には準備時間が必要」と、取材は受けてもらえず。「日刊薬業」の記事について尋ねると、「ノルウェーでの使用禁止の事実はありません」という返事がもどってきた。

 いったいどういうこと? 通達は出たが禁止措置には至らなかった、という意味なのか? 混乱する私に、しかし日本オルガノン社はそれ以上の説明をしてはくれなかった。

 そこで、厚生省医薬安全局審査管理課に取材を申し入れる。しかし、ここでも「審議中の医薬品についての取材は、応じられない」(平井俊樹課長)と、一蹴されてしまう。

 「早ければ九月に販売」などと報じられ、しかも健康な人が日常の中で毎日服用する薬である。それについて、他国で使用禁止の勧告が出された、と日刊紙は報じているのに。

 事実関係がいっさい確認できないこの状況、いったいどう考えたらよいのだろう?

 新しい薬とはどんなものか、他国の事態は大丈夫なのか。不安を抱き、詳しく知りたい、と願うのは、薬を使う側=一般消費者としてごく自然な感覚ではないだろうか。いったい誰が私の疑問に答えてくれるのだろう?

 

オルガノン社 第3世代ピル「マーヴェロン」

 

英国 1995年、第3世代ピルの副作用情報で大騒ぎになり、英国保険省、「別の成分のピルに比べて血栓症を起こす危険性が高くなる可能性があり、利用者は医師に相談する必要がある」と規制された。
その後、調査方法に問題があったのではと改めて調査され、、第二世代と第三世代との間に差はみられないことが判明し、1999年4月に規制解除。新聞に「Pill U-turn four years after panic(ピル、パニックから4年後にやっと帰ってきた)」と大きく報道されました。
ドイツ 「現在、問題のない人はピルを変える必要はないが、初めて使う人に対して半年間の使用を制限する」と規制された
その後、調査方法に問題があったのではと改めて調査され、第二世代と第三世代との間に差はみられないことが判明し、1997年12月に規制解除
ノルウエー 「リスクがあるかもしれない」ということで、「第一選択にしないように(他のピルがふさわしくない場合にのみ処方)」という規制がつけられましたが、販売禁止とはまでいっていない

 

その後、調査方法がおかしかったのでは?と再度、調査方法を洗い直し、第3世代ピルと第2世代ピルとの間には、リスクの差がないという結果になったとか。

『ピルとのつきあい方』『サイコロ・ゲーム・トリック』  
『リプロヘルス情報センター』『ピルの50年史』  

 

 

 

 

イギリスとニュージーランドで死亡例を報告
 
 取材を続けていくうち、私はさらに驚くような事態に出会った。イギリスにて低用量ピルの副作用の疑いで死亡した女性の遺族や重症となった患者が、製薬会社や医師を相手どって集団訴訟を起こしている、というのだ。

「イギリス保健省の記録によると、ピルの副作用と疑われている死亡例が四年間に50件発生していて、そのうち日本でも申請中のマーベロンによる死亡が8件あります」と、ピルについて調査を続けてきた「エコロジーと女性」ネットワークの吉田由布子さんは言う。

「被害者の母親から入った情報によると、136人が製薬会社や医師を相手どって訴訟を行っている、という。彼女は娘をピルで失い、副作用に関してもっと強調されるべきだし、特殊なケースとして片付けられてはならない、という思いから情報提供してくれています」

 「低用量ピル」は、言葉の印象から「副作用が少ない」と思われがち。だが、そこに落し穴があるのでは、と吉田さんは指摘する。
「たしかに一錠中のホルモン含有量は以前よりも減っているのですが、合成ホルモンの活性そのものは、逆に強くなっているのではないか。イギリスの例を見ると、三分の一のケースが服用から三ヶ月以内に死亡している。低用量=副作用が少ない、と安易に考えるのは間違いではないでしょうか」 ピルの中のホルモンは「内分泌かく乱物質」としても慎重に審査する必要があり、「六月承認」ではなく、新たな毒性評価の視点で安全性を見直すべき、と、吉田さんは審議そのものに疑問を提示する。

 さらにイギリス以外でも、「ニュージーランドで低用量ピルを服用していた若い女性が五年間に六人、肺塞栓症で死亡。この数字は保健省が予想したものよりずっと高い」と、医学雑誌『ランセット』(九九年一月三十日)は伝えている。

「人工的なホルモン剤を長期に連続服用するピルは、身体にとってあまりにも過激。それなのにきちんとした臨床試験すら、行われていないのでは」と言うのは、「準備出産&からだのおしゃべり会」のメンバーで『女のからだ 私たち自身』の著者、森冬実さんだ。
「今、複数の種類のピルが申請中だといいます。それぞれ、ホルモンの組成が違うのに、『低用量ピル』と一括りにして審議し、認可する、ということ自体、おかしい。申請中のピルの中には、海外で深刻な副作用が報告されつつあるものも含まれるのに、安全性が確認された、と言い切れるでしょうか。私は『認可しない』という結論もあってよいのでは、と思います」

 あるいは、「薬害の歴史」という角度からピルをウォッチする「薬害エイズを追求する市民ネットワーク」の草田央さんは、「健康な人が常時服用する薬だとすれば、リスクは『少ない』などというレベルではダメ。『ゼロ』でなければならないのは当然のことだと思う。『医薬品には副作用がつきもの』という考え方は病者の場合であって、万が一にも健康な人が医薬品によって害されてはならないはずです」と指摘する。

「ピルは従来の『月経困難症』という治療目的から適応を拡大させる方向で開発されてきた。特定の治療目的で作られた薬を他の目的へ適応拡大する流れが、薬害を産む原因の一つになってきた歴史を軽視してはならない」

 

山下様の主張は、まるで伝言ゲームのように、情報が過剰になり歪曲されていないか?

 

イギリスでの死亡例について

「イギリス保健省の記録によると、ピルの副作用と疑われている死亡例が四年間に50件発生していて、そのうち日本でも申請中のマーベロンによる死亡が8件あります」と、ピルについて調査を続けてきた「エコロジーと女性」ネットワークの吉田由布子さんは言う。

これは、ほんとうでしょうか? 

『ピルとのつきあい方』のruriko氏によると、「反ピル論の検討」で徹底批判されています。

「エコロジーと女性」ネットワークの吉田由布子による資料を元に、薬剤師・近藤和子が「シグマ」に論文を発表しました。
その論文を、rurikoが徹底批判されています。論点は2つ。
@「エコロジーと女性」ネットワークの吉田由布子による資料じたいあやしい。
Aさらに、近藤論文は、伝言ゲームのように、歪曲されたデータを、さらに歪曲したので、ひどいデマになってしまっている。

「エコロジーと女性」ネットワークの吉田由布子による資料じたいが、かなりいかがわしいのではないのでしょうか?
 山下様も同様に、それを元にピル反対の原稿を書かれました。あやしいものの上に、さらに伝言ゲームのように、歪曲してはいないか?

ピルを服用されている方々が、4年間で50人も死亡されたからって、それですぐにピルのせいとは決めつけられないでしょうしね。その内の1例が自殺だったりとか。

マーヴェロンを服用していた女性が何人もいたからって、それでマーヴェロンのせいだなんて断言していいのでしょうか?

日本では、低用量ピルが解禁されないものだから、1960年代から中・高用量ピルを代用なされた方が約20万人もいらっしゃいましたが、死亡例は何例でしたでしょうか?

 

その後、山下様は『サンデー毎日』2000.3.5 では【だが英国では4年間にピルの副作用と疑われる46件の死亡が報告されていた。】【手元にイギリス保健省医薬管理局がまとめた「94年1月〜97年12月の期間、経口避妊薬ピルに関連した死亡例」のデータがある。これによれば、4年間の低用量ピルによる死亡は四十六件にのぼる。成分が少しずつ異なるため日本に入っていない製品も含まれているが、今回日本で承認されたピルとまったく同成分の薬による死亡が十一件ある。 そのうち八件は「マーベロン」(日本でも同名で承認された)という薬によるものだ。

あれれ? 少し数字が違う。なんで? 50件? それとも46件?

吉田由布子のHP『ピル110番』「海外3」
ピルに関連した死亡例(1994.1 - 1997.12)死因と服用していたピルの成分(イギリス保健省の記録をもとにまとめたもの。成分についてはイギリスの医師向け医薬品手引書を参考。作成:「エコロジーと女性」ネットワーク/吉田)】で一覧表があります。
以上の一覧表は、吉田由布子と武田玲子の共著『ピルの危険な話』(2000年3月4日発行)の記事でも同様のが掲載されています(まあ、山下柚実様がこの記事の発行が『サンデー毎日』2000.3.5 だから、この記事を書かれた当時はまずその本をお読みにはなられてはいらっしゃいませんでしょうが、とりあえず読者への情報として一応載せますね)。
これでは、死者の数は50名

山下柚実手元にイギリス保健省医薬管理局がまとめた「94年1月〜97年12月の期間、経口避妊薬ピルに関連した死亡例」のデータがある。これによれば、4年間の低用量ピルによる死亡は四十六件にのぼる。】というのは間違いでしょ〜! 【イギリス保険省の記録をもとにまとめたもの。】【作成:「エコロジーと女性ネットワーク/吉田】でしょう!

 

吉田由布子のHP『ピル110番』「海外3」
ピルに関連した死亡例(1994.1 - 1997.12)死因と服用していたピルの成分 (イギリス保健省の記録をもとにまとめたもの。成分についてはイギリスの医師向け医薬品手引書を参考。 作成:「エコロジーと女性」ネットワーク/吉田)】で一覧表があります。
 この一覧表には、とんでもない欠陥があります。
これには、Norplant(36μg入りの細いカプセル6本を皮下に埋め込むもの) 利用者の死亡者が2名も含まれています。 これを「ピルに関連した死亡例」に入れるのは、違うでしょう。さらに付け加えるなら、その2名の内の1人が自殺って! そんなのまでカウントするのはいかがなものか。 その2名をデータから除外すれば48名。
 それと1999年に日本で厚生省に認可された低用量ピルはエストロゲンとプロゲストーゲン混合型ピルです。 低用量のプロゲストーゲン単独型ピル(通称ミニピル)は認可されていません。 プロゲストーゲン単体のミニピル服用者の死亡者2名を、【ピルに関連した死亡例】にいれるのは間違いではありませんし、そのことに関しては批判はしません。
 ただ、先の2名プラスその2名も除いたら、ちょうど46件。ひょっとして、こういうことでしょうか?

 ★ もしそうなら、山下様は、かつて『SAPIO』1999.5.12でで書いた記事には、データにおける数字のミスがあったことはご存知なのでは?

 ★ それと、 【手元にイギリス保健省医薬管理局がまとめた 「94年1月〜97年12月の期間、経口避妊薬ピルに関連した死亡例」のデータがある。 これによれば、4年間の低用量ピルによる死亡は四十六件にのぼる。】で、【イギリス保健省医薬管理局がまとめた】というのは違うっていうのはご自身でもよ〜くご存知のはずでは?

山下様は、吉田様に騙された被害者なんかじゃない。確信犯だ! 確信犯的な嘘を書く方だ。

 

それと、山下様は吉田由布子様からいただいた資料が【イギリス保健省医薬管理局がまとめた】というのは大嘘です。AMERICAN LIFE LEAGUEがまとめたものです。

HP『ピル110番』 【海外3】【ピルに関連した死亡例(1994.1 - 1997.12)死因と服用していたピルの成分】

ああ、これはもう、AMERICAN LIFE LEAGUE のを元にまとめたんやな。それやったらそうと、「AMERICAN LIFE LEAGUEの公表した資料を参考にしました」でも書いたらいいのに。

AMERICAN LIFE LEAGUE HP
「Deaths Associated with Birth Control in England 1994-97」
「Deaths associated with the birth control pill in England 1994-1997」(1998年12月8日)

 

rurikoさんからの情報です。感謝します。
カソリック原理主義者は、反堕胎・反避妊・反ピルで筋が通っています。カソリック原理主義から派生したのが、プロライフ運動。プロライフ運動はカソリック原理主義者を中核に含みながら、宗派色を表に出さないことで、「心情的プロライフ派」を取り込みつつあります。中絶経験者はいくぶんかは、プロライフ的心情を持っていますから。
日本の反ピル運動もプロライフ運動の影響下にあるのは明白です。
A Consumer's Guide to the Pill and other Drugs(2nd ed.)1997という本を見てみると、日本の反ピル運動の論理が、この本の受け売りに過ぎないことがよくわかります。参照文献のスペルミスまで引き継いでますから。そしてこの本を出したのがアメリカのプロライフ団体ALLです。日本の反ピル運動は、ALLとの関係は秘密なんでしょうか?
反ピルの論理だけ切り売りしようとすると、代替避妊法については明示できないというわけで。

 

 

参考

DEPARTMENT OF HEALTH HP イギリス保健省      
AMERICAN LIFE LEAGUE HP 反避妊、反中絶のカトリック団体      

 

 

 

 

 

ニュージーランドの死亡例について

私は、医学雑誌『ランセット』(九九年一月三十日)の原本を調べて見たけどみつからなかったので、彼女にメールで問い合わせました。
そしたら、さっそくメールで
★信頼できる筋からもらった情報であること、
★昔の資料は一定の期間がきたら倉庫にしまうので、今すぐには確認できないとのことでした
(以上、正確な引用ではありません。そのメール内容の正確な転載は拒否されましたので、内容を要約して伝えますね)。
それから、すぐに彼女から、『LANCET』HPから過去のバックナンバーをメールで教えられました。ありました! 私のミスでした。すみませんでした。

「信頼できる筋」とは誰か(吉田由布子? カトリック医師平田国夫? AMERICAN LIFE LEAGUEの信者?)問い合わせましたが、無視されました。

さっそくチェックしてみましたけど、山下氏によるこの資料の利用の仕方は問題がありませんか?

資料 和訳/のら猫の手

『LANCET』1999年1月30日号 
Deaths linked to third-generation contraceptives
http://www.thelancet.com/newlancet/sub/issues/vol353no9150/body.correspondence413_3.html

死につながる第3世代避妊薬

desogestrelまたはgestodeneを含んでいる第3世代経口避妊薬を服用していた若いニュージーランドの女性のうち、 1993年1月から1998年6月の間に少なくとも6人が、肺塞栓症で死にました。

この数は、1996年7月に厚生省が第3世代ピル服用者の静脈の血栓塞栓症の危険についての忠告時に 予想された数よりもはるかに高い。 その後の厚生省の声明によると、1〜2%の割合の惨事からの予測を元に計算すると、1.5〜2.5年毎に一人が死亡することが 予想されるとのことです。

ニュージーランドでは不都合な出来事の報告は任意にまかせるシステムを持つので、 死の実数は記録されたより高いかもしれません。 厚生省は、その死亡数に関する説明を与えることができませんが、報告するシステムが「自然な変動および報告するバイアスに影響をうけやすい」と言います。

政府の薬副作用委員会(MARC)は、 1996年前半に厚生省に対して、 これらの錠剤に起因する静脈の血栓塞栓症の増加が、 ニュージーランドの情況において「意味があると予想できた」と警告しました。 第3世代ピルはニュージーランドで瞬く間に大きな市場占有率を獲得しました。 1996年までに、約150万人もの女性たち(経口避妊薬服用者の内80%)が第3世代ピルを服用していました。

1996年、薬副作用委員会(MARC)は、厚生省に対して、古い型のピルを「優先的に処方する」ように医者に指導してほしいと助言をしましたが、厚生省は従いませんでした。 家族計画協会(The Family Planning Association)、王立産婦人科医委員会( the Royal College of Obstetricians and Gynaecologists)が、例の助言に反対したので、 その言葉による表現は「処方を考慮する」と修正されました。

厚生省は、今や1996年からの助言を反復するようになりました。 検死官の報告書は、全体像を確認するためにOtago医学大学で研究者によって調査されています。 薬副作用委員会(MARC)は1999年の最初の会合で、重要な新しいデータを調査するでしょう。

サンドラ・コニー(Sandra Coney )

 

サンドラ・コニー(Sandra Coney )! 出た! 吉田由布子がHPや、武田玲子との共著『ピルの危険な話』(東京書籍)(200年3月4日発行)で感謝の言葉を捧げていた資料提供者!
Women's Health Action HP
ニュージーランドの女性団体 1984年創立。中心は、フィルダ・バンクル(Phillida Bunkle)とサンドラ・コニー(Sandra Coney)

 元の記事を、読者にかなり誤解を与えるように利用してはいないか?

@ たくさん種類のある避妊ピルのうち、最新の型である第3世代ピルの危険性を訴えた記事なのに、避妊ピル全部の危険ととらせるような利用の仕方

★ これを読んでみると、避妊用低用量ピルのうち、第3世代ピルの危険性は訴えてはいます。ただし、古い型の(第1世代、第2世代)ピルを利用するようにと進めているようにもとれますよね。
山下様が「第3世代ピルだけは認可しないように」という運動のための資料にするのなら、まだ分かります。だけど、この記事で、避妊用低用量ピル全てを否定するのはいかがなものでしょうか?
これって、すぐ後の森冬実氏の主張【今、複数の種類のピルが申請中だといいます。それぞれ、ホルモンの組成が違うのに、『低用量ピル』と一括りにして審議し、認可する、ということ自体、おかしい。】と、矛盾しやしませんか? 
 たくさん種類の有る避妊ピルを、それぞれ個別に判断・評価するか? それとも、まとめて判断・評価するか?
 私はそれぞれ個別に判断・評価すべきだと考えています。それぞれ臨床試験をして、全て問題がなかったら、その後、厚生省が全てをまとめて認可するというのもありでしょうけどね。

A 元の記事じたいが、かなりあやしいかもしれない。

 それと、これは重要な問題なんですけど、
★ 6人の肺塞栓症の死亡者が、3世代の混合型低用量ピルを服用していたからって、それが第3世代の混合型低用量ピルのせいと断言できるのか?
★  1993年1月から1998年6月の間に、全体で何人の女性が低用量ピルを服用し、その内何人が第3世代の混合型低用量ピルを服用していたのか? 全女性の数および死者、非ピル服用者の数および死者などとの比較対象などはどうか?
このデータと、分析方法じたいが、書き方が曖昧ですよね。

それだけで、「死につながる第3世代避妊薬」なんて断言していいのでしょうか?

★ 第3世代の混合型低用量ピルを服用していない女性との比較対象はどうか?

★ 他の危険要因も調べ、比較しないとダメなのでは?
 喫煙者/非喫煙者、肥満/非肥満者、運動する/しない者など色々な条件とも組み合わせて比較しないとダメなのではないのでしょうか?
それに一説によると、「血栓症は、白人の民族的病」という説もあるとか。日本人で低用量ピルが解禁されなかったから生理の治療用には認可された中・高用量ピルを医者に頼んで避妊用に転用してもらっていた方々が約20万人いらっしゃったけど、死亡率はどれぐらいだったのでしょうか? 

 2002年にナンシー関というライターが、虚血性心不全で39歳で亡くなられました。雑誌では、彼女の病気の原因について言及されていました。中には、少し揶揄的な書かれ方もされていました。肥満(約100kg)を少し揶揄的に書かれていたような・・・。100mも歩くと「ヒーヒーゼーゼー」苦しんだとか。喫煙、1日12時間ものTV鑑賞、運動不足、不規則な生活、大量の仕事をこなされていたなど色々健康に悪いことをなさってらしたとか。とはいっても彼女の虚血性心不全が何が原因かを調べるのはかなり困難なのではないのでしょうか? 
 仮に39歳の喫煙者(肥満者など)が虚血性心不全死なれたからって、その死亡原因などを調べて、喫煙(肥満)が原因だなどと断言はできませんよね。

 

 日本では、1999年まで低用量ピルが解禁されなかったので、年間約20万人もの女性が中用量ピルを代用していたとか。これで何人の死者がでたか? まさか、中用量ピルよりも低用量ピルのほうが死亡率高いなんてことないよね?

 

森冬実氏の主張
「今、複数の種類のピルが申請中だといいます。それぞれ、ホルモンの組成が違うのに、『低用量ピル』と一括りにして審議し、認可する、ということ自体、おかしい。申請中のピルの中には、海外で深刻な副作用が報告されつつあるものも含まれるのに、安全性が確認された、と言い切れるでしょうか。私は『認可しない』という結論もあってよいのでは、と思います」

だからと言って、低用量ピルを『認可しない』というのは、無茶な論理だと思いますよ。
ホルモンの組成が違うものは、それぞれ個別に臨床試験を行うのはいいと思います。そして、その内、ある種類(仮にA)にひどいものがあれば、そのAだけは認可しないというのでも構いません。だけど他の良いやつは認可するというので構いません。
仮にAがひどいからって、他のやつまで全部認可しないのはいかがなものでしょうか?

山下様は、避妊用低用量ピルのうち最新版の商品である第3世代ピル「マーヴェロン」の薬害を訴える記事を低用量避妊薬ピルの薬害と紹介しておきながら(それはそれで間違いではないのですが)、認可されるのは全部一括りまとめてされるのはダメというのは、かなり矛盾しているのではないのでしょうか?

 

それと草田央

ひどい

妊娠の不安を除いてノビノビとセックスを楽しみ、予期せぬ妊娠を防ぎ、中絶を防ぐために、ピルを利用したい方々の気持ちが分かりますか。

中絶も、女性の身体に副作用がないとは言いきれませんけど、それでも私は容認しますよ。

昔は、女性は、女性の選択肢が限られてきた。仕方がなく、闇、裏から拡大解釈してやるしかなかった。合法的に、選択肢を勝ち取っていこう。

中絶は、いまだに堕胎罪で犯罪で、拡大解釈で容認されているにすぎない。堕胎罪の即時撤廃を要求します。

事後避妊薬も、非合法。避妊に失敗したり、強姦された女性のために、志のある医者が、非合法の闇で、拡大解釈をしながら、法律のグレーゾーンでやっている。

事後避妊薬の合法化も要求しますよ、私は!

 

「安全な避妊薬早く」の大見出しで報じた大新聞

 「ピル解禁」を報じてきた大新聞は、こうした事態を、ありのまま客観的に伝えてきただろうか?
 各社の記事を眺めてみると、「九七年までに安全性、有効性の議論はほぼ終了」(読売新聞)、「世界で1億人が利用しながら安全性に目立った問題もない」(毎日新聞)といった記述がしばしば見られる。

 「安全な避妊薬 早く」という大見出しが踊る朝日新聞の記事(九九年一月三十日)は、「安全性をクリアしている」(産婦人科医・尾澤彰宣氏)、「(認可が遅れているのは)女性たち自身に副作用が強いという間違った情報が広がっているから。ピルの安全性の検査は、やりつくされている」(堂本暁子参院議員)といったコメントが並ぶ。一本の記事の中に、危険性についての記述が一行もない。読者が「安全」だと錯覚する可能性もある。

 もちろん各社の記事の中には、服用について厳しい条件があることや、副作用について注意を促すものもあった。しかしなぜか、ヨーロッパでの使用制限勧告やイギリス、ニュージーランドでの副作用と疑われる死亡例、集団訴訟など、今発生している具体的な事態を報じる記事は、私が探した範囲で(原稿を執筆している四月十二日時点)、一つも見つからなかったのだ。

 まさか、情報のプロであるはずの新聞記者が、こうした事態を知らない?

 あるいは知っていて、あえて書かなかった?

 どちらであっても、おかしい。
 「ピルによる避妊は女の選択肢を広げるから歓迎」という声は多い。だが、少なくとも「自己選択」の大前提として、安全性と危険性、すべての情報がありのまま流れなければ、判断をすること自体、ままならないはずだ。これまでジャーナリズムはプラス・マイナスすべての情報が得られる状況を、「情報公開」と呼んできたのではなかったか。

 いったいなぜ、ピルをめぐって奇妙な報道の偏りが発生しているのだろうか?

 七0年代以降、ピルという薬は、男に頼らない避妊法として、女性解放運動の象徴的な存在に掲げられてきた歴史がある。

 ピルが持つ意味合いは、HIVや環境ホルモン問題の登場とともに変化してきたはずだが、「女性の権利を広げるピルを解禁すべき」という「意識/イデオロギー」だけは変わらず記者たちの中に根付いているのだろうか? その「イデオロギー」にあまりにもとらわれすぎた結果、全体として危険性についての取材が薄くなり、「推進」色の強い報道になってしまったのでは「ない」というならば、危険性についての情報も、安全性と同じ分量伝えるべきだろう。それこそが「客観的な報道」姿勢ではないだろうか。

 新聞記事を読んで、素朴に「安全だ」と思いピルを服用した人が、万が一死亡したとしら、いったい誰が責任をとるのだろうか?

HIV感染と同質の不幸な事態が繰り返される?
 
 中には「薬を使う時には医師がリスクを管理してくれるから大丈夫」と思っている人がいるかもしれない。

 現場の医師たちは、ピルに関する最新の情報を、どれくらい把握しているのだろうか。
「現在、医師向けの処方マニュアルが作成されている最中ですが、正直に言って医師の間でも、『低用量ピルは副作用が少ない』と単純に受け取れられている傾向が強いと思います。また、安全性ばかり強調するような情報が流れてくることも事実」と指摘するのは、まつしま産婦人科小児科医院の佐々木静子医師だ。海外での死亡例や集団訴訟があることも今まで知らなかった、という。
「私は医師として、子宮内膜症とか機能性子宮出血などの治療薬として、短期間に使用するホルモン剤の一つに低用量ピルがあることは価値があると考えます。治療方法の選択肢が増えることはよいこと。しかし、健康な女性が連続服用する避妊薬としては、疑問を感じざるをえない。医薬品と身体とのつきあい方を深く議論せずに、あるいは男性と女性の関係性について掘り下げずに、効果ばかりに注目してピルに飛びつくのは本末転倒です。また、化学物質が世の中に溢れ、微量でも生殖能力や免疫機能を奪う可能性について危惧される中で、自分の健康を守ろうとすれば、もうこれ以上、身体の中に化学物質を入れない、ということは基本的な、そして重要な選択ではないでしょうか」
 佐々木医師は言った。
「避妊とはそもそも、女の健康と身体を守るものではなければならない。今こそ、効能や副作用といった表層的な比較論ではなく、避妊とはどうあるべきなのか、原点に立ち戻って考える必要があると思います」
 
 私は仲の良かった友人を薬害エイズで亡くした。彼は血液製剤を使い、HIVに感染させられた。そして三十歳でこの世を去った。

 ピルをめぐって今、外国で起こっている事態を見ると、果たして日本で解禁されるピルがそうした不幸を呼ばない、という保証を、いったい誰がしてくれるのだろうか、と思う。

 もし、不幸な事態が日本で同じように起こったとしたら、誰が責任をとるのか?

 少なくともそのことだけは明らかにしてから、「解禁」に踏み切っていただきたい。それが薬害エイズ問題に関わる中で、身を切るようにして私が学ばされたことなのだから。