RU486 経口中絶薬 歴史
フランスの会社ルーセル・ウラア(Roussel-Uclaf)社(ちなみにドイツのヘキストAG社が出資)で、Etienne-Emile Baulieu 博士が、自然な流産を誘発する抗プロゲステロン作用を持つ人工妊娠中絶薬が開発。ルーセル・ウラア(Roussel-Uclaf)社の名と通し番号をとって「RU486」と命名。
フランスで1988年に認可され、1989年から販売された。商品名「ミフェジン」
が、ドイツでは、ルーセル・ウラア(Roussel-Uclaf)社の出資社であるヘキストAG(Hoechst
AG)社に対して、中絶反対派による同社製品ボイコット運動が拡大。恐れをなした同社は97年、撤退を宣言、販売権は開発者であるサキ博士(Edouard
Sakiz)が設立したエクセルジン社(Exelgyn)に移された。
米国内での販売権は非営利団体米国の the
Population Council に寄付。ドイツでは1999年についに認可。
the Population Councilは、その販売の権利を「ダンコ・ラボラトリ−ズ」(Danco
laboratories)に譲っている。しかし、製造メ−カ−の名前や場所などは、反対勢力の標的になりやすいとの理由で、公開されていない。
Roussel-Uclaf 社は、自社が「RU486」を米国国内で製造、販売することを断念し、1994年5月に「RU486」の特許権を米国の the
Population Council (人口問題、及び家族計画問題を扱う非営利民間団体)に譲渡した。その後、the
Population Council はFDAに認可を申請したが、反対勢力のせいで中々認可がすすまなかった。が、2000年9月28日やっとFDAが正式認可。
ロナルド・ドゥオーキン『ライフズ・ドミニオン』(信山社)って本ででそのthe
Population Council のHP(http://www.popcouncil.org/rhpdev/usmife.html)が紹介されていたのでチェックしたけど、ないの。で、「the
Population Council」で検索したら、 the Population Council のHPを見つけた。いくら、RU486の情報をさがしても見つからず。中絶反対派のことを恐れて、口をつぐんでいるのかなあ?
フランスでは、今、販売元はエクセルジン(Exelgyn)社(本社パリ)、社長で開発者でもあるエドゥアール・サキ。
当初の販売元だったドイツの製薬会社は92年までに、英国、スウェーデンにも販路をひろげたが、それに伴って反対派による同社製品ボイコット運動が拡大。恐れをなした同社は97年、撤退を宣言、販売権は開発者であるサキ博士が設立したエクセルジン社に移された。米国内での販売権は非営利団体に移った。 |
年表
重大な注意! 経口中絶薬「RU-486」と、事後避妊薬(緊急避妊薬、モーニングアフター・ピル)とは、全くの別物ですよ。
又、人口流産剤「ブレグラディン」とも別物ですよ。
中絶手術 中絶薬 経口中絶薬「RU-486」 |
事後避妊薬(緊急避妊薬、モーニングアフター・ピル) |
人口流産剤「ブレグラディン」 | |
1810 | フランスで堕胎罪。実際の裁判では陪審員達がつねに寛容な態度をとり、多くは無罪となっていたとか(1974年に5年間の試みとして中絶が合法化され、1981年に一部修正の上継続の決議が) | ||
1920 | 7月23日フランスで中絶と避妊の宣伝を禁止する法案が可決。 | ||
1969 | エストロゲンによる性交後ピルは、ハスペルズ(Haspels,1969)らによって、オランダで最初に報告されたのが始まりである。 | ||
1971 | フランスでは『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』誌(1971年4月5日号)に、シモーヌ・ド・ボーボワール、フランソワーズ・サガン、カトリーヌ・ドヌーブ、マルグリット・デュラス、ジャンヌ・モロー、ジゼール・アリミなどが「私たちも中絶をした」と刑法堕胎罪を告発し、避妊と中絶の権利を求めた「343人の宣言」が掲載。 | ||
1972 | フランスで出生前診断開始。胎児が身体障害者などの場合は中絶。胎児が健康な場合は中絶はダメだったけど。 フランスで10月11日、当時17才のごく普通の女子高生マリ=クレールが強姦されヤミ中絶をした罪で、ボビニ少年裁判所に出頭。この事件はマスコミで大々的に騒がれ、中絶合法化へとすすむようになった。 |
||
1975 | フランスで中絶が5年間の時限立方として成立。 | ||
1977 | 性交の後に高・中用量ピルを飲んで受精卵が着床しないようにするしくみを、ヤッペという学者が発表。ヤッペ法。 | ||
1979 | フランスで5年間の時限立方として成立した中絶法が若干の改正を経て恒久立法となった。 | ||
1980 | フランスで Etienne-Emile Baulieu 博士が、自然な流産を誘発する抗プロゲステロン作用を持つ人工妊娠中絶薬が開発。フランスの会社ルーセル・ウラア(Roussel-Uclaf)社の名をとって「RU486」と命名。ちなみにその会社はドイツの会社ヘキストAG社が出資している。 | ||
1983 | 米国FDA、RU486の臨床試験開始(6年に渡って300人以上使用)。南カリフォルニア大学にて。 | ||
1984 | 5.30厚生省、人口流産剤「ブレグラディン」を世界初認可 | ||
1988 | 10月フランスで自然な流産を誘発する抗プロゲステロン作用を持つ人工妊娠中絶薬「RU486」が認可。 中国でも認可。 |
||
1989 | 6月当時の共和党のブッシュ大統領はRU486について「十分な研究がなされておらず、広範な健康問題を引き起こしかねない」として中絶を目的とした同薬の輸入を禁止する措置を発表した。 9月フランスで、自然な流産を誘発する抗プロゲステロン作用を持つ人工妊娠中絶薬「RU486」が一般利用可能に。商品名「ミフェジン(MIFEGYNE)」 |
||
1991 | 英国でも人工妊娠中絶薬「RU486」が承認され、流通開始。 | ||
1992 | スウェーデンでも人工妊娠中絶薬「RU486」が承認され、流通開始。 | ||
1993 | 民主党のクリントン大統領は就任するとすぐ、RU486の輸入禁止措置を撤廃。臨床試験が再開された。 | ||
1994 | Roussel-Uclaf 社は、自社が「RU486」を米国国内で製造、販売することを断念し、5月に「RU486」の特許権を米国の the Population Council (人口問題、及び家族計画問題を扱う非営利民間団体)に譲渡した。その後、the Population CouncilはFDAに認可を申請したが、正式認可にはいたってはいない。 | ||
1995 | 9月「抗がん剤とかいよう治療薬の二つの薬を併用すれば、ほぼ妊娠中絶できる」とする臨床試験データを、米ロチェスター大医学部のエリック・シャフ博士らが十四日付の米医師会雑誌に発表した。研究グループは、十八歳以上で中絶を希望した妊娠八週以内の女性百人に、本人の承諾を得て、臨床試験した。まず抗がん剤のメソトレキセートを妊婦に注射。五―七日後に、かいよう治療薬のミソプロストールを座薬として与えた。同博士によると、結果は九十八人が自然流産して、中絶に成功。出血や吐き気、下痢などの副作用はあったが、九十一人が「我慢できる症状だった」と答えたという。 | ||
1996 | アメリカで経口中絶薬RU486の承認申請 | ||
1998 | アメリカFDAの諮問委員会で経口中絶薬RU486の安全性と有効性が確認 | 9月2日米国FDAが薬品会社ジネティクスに対し、事後に服用する経口避妊薬セットの販売を初めて認可。商品名「プリヴェン」。 | |
1999 | 9月イスラエル、9月ロシア、10月スイス、11月ドイツ、12月オーストリア、12月オランダで承認され、流通が。 ECC加盟の9つの国々(オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、ドイツ、ギリシア、ルクセンブルク、オランダ、スペイン)が承認。ECC非加盟国のロシア、イスラエル、スイスも承認 スペインで経口中絶薬RU-486認可。 |
6月フランスで、事後避妊薬が、処方箋なしで、薬局での店頭販売ができるようになった。 | |
2000 | 2月8日 スペインで経口中絶薬RU-486、公式に導入。 ベルギー、ルクセンブルク、デンマーク、フィンランドでは承認済みで、2000年春には流通の予定。 ギリシャでは承認済みで、2000年内には流通の予定。 ノルウエーでは承認申請中で、2000年内には流通の予定。 南アフリカ、台湾、チュニジア、ウクライナでは承認申請中。 9月28日 ついに米国のFDAが認可! 商品名「Mifeprex(マイファプレックス)」 |
製薬会社のWomen's Capital Corp.による事後避妊薬、商品名「プランB」販売。 1月、フランスで、なかなか減らない人工中絶に対応するため、ロワイヤル学校教育担当相(当時)は、学校での緊急避妊薬の無料配布に踏み切った。しかし、反発したカトリック系団体に裁判に持ち込まれて敗訴。その後、国民教育相や雇用・連帯相など4大臣が中心となって、「学校の保健士を通じて未成年者へ緊急避妊薬を配布する」内容の新法案を提出。11月に国会で正式に承認された。 10月イタリアで事後避妊薬が認可。カトリックの本拠地ヴァチカンでは「事後避妊薬と中絶ピルとの間には違いはない」との事後避妊薬反対の声明。 11月 フランスで、国民教育相や雇用・連帯相など4大臣が中心となって、「学校の保健士を通じて未成年者へ緊急避妊薬を配布する」内容の新法案を提出。11月に国会で正式に承認された。フランスでは2種類認可されており、学校で無料配布されるのが商品名「ノルレボ」 |
|
2001 | 英国で1月から薬局での販売が許可される。@購入者は16歳以上であること A薬剤師が顧客に対面販売する、などの規制があるが、購入には医師の処方箋は必要ない。 |
注意 スペインで経口中絶薬RU-486が認可されたのは、1999年?/2000年?
関係 解説
Etienne-Emile Baulieu 博士 | 私なりにまとめた解説 | |
Edouard Sakiz 博士 | 私なりにまとめた解説 | |
Roussel-Uclaf | ||
Hoechst AG | ||